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業界動向 2022.10.19

XRやメタバース関連展示で盛り上がる「CEATEC 2022」。Steam Deckで動作するVRChatや、Nreal Airで動くVKet Cloudの姿も

2022年10月18日から21日まで、千葉県の幕張メッセにてIT・エレクトロニクスの国際展示会「CEATEC 2022」が開催されています。3年ぶりのリアル開催となったCEATEC 2022。出展社数は562企業と、2019年の787企業と比較して7割ほどに。いまだ続くコロナ禍の影響が重くのしかかっていることが伺えますが、来場者は各企業の各種最新技術に興味津々。人気の高いブースには行列ができるほどの盛り上がりを見せていました。

その中でもひときわ熱気が渦巻いていた「METAVERSE EXPO JAPAN 2022 in CEATEC」のブース。Metaを中心とした多くの企業が集い、2022年現在のメタバース関連サービスや技術が展示されていました。

実は2022年7月27日~28日にかけて、グランドハイアット東京(六本木)で開催された「METAVERSE EXPO JAPAN 2022」とほぼ同じ展示内容でしたが、「所変われば人変わる」とでも言いましょうか。メタバース関連のビジネスや技術、そしてVRヘッドセットの装着がはじめてという方も多く、どのブースも関心の強い人々が集まっていました。

宇宙遊泳、一枚の写真からアバター生成……バリエーション豊かな展示内容

具体的な展示内容はVRコンテンツやアバター制作、メタバースECサービス、バーチャルライブサービス、AR/MRプラットフォーム、メタバース人材(アバター/バーチャルワーカー)の育成、NFTゲームなど。今回は筆者が興味深いと感じた展示をピックアップしてご紹介しましょう。

まずバスキュール x JAXAのブースで展示されていたのが「ISS SPACE WALK in METAVERSE」。ISS国際宇宙ステーションと連携し、ISSの周囲を宇宙遊泳しながら地球の姿を見ることができるVRコンテンツです。複数のアバターで同時ログインするために、ソーシャルVRの感覚を知ることができるコンテンツ。UFOから現れたchelmicoがISSというステージに立って歌うボリュメトリックライブも盛り込まれており、はじめて体験する方からは驚きの声が上がっていました。

TOPPANのブースでは、1枚の顔写真からアバターを生成する「メタクローン」を体験することができます。顔以外の部分は素体となる3Dモデルが用意されており、体型の数値を入力することでリアルに近づけるというもの。大型の全身3Dスキャナーを使用することがなく、手軽にフォトリアルなアバターをたった1分で生成することができるため、極めて高い生産性を持ちます。ソーシャルVRのビジネス利用において今後注目されていく技術/サービスです。

今後、新しい働き方として定着するであろうアバター/バーチャルワーク支援を展示していたのが人材派遣業のパーソルマーケティングブースです。ビジネス向けソーシャルVRサービスVirbelaの日本代理店であるガイアリンクと提携しており、販売・接客のためのメタバース人材を起用する活用方法を案内していました。

パーソルマーケティングは今後、3,000人規模のメタバース人材を雇用することを発表しており、育成のためのシステムも整えているとのこと。VRヘッドセットを持っていない人に機材を貸与することも検討しているそうです。

小型デバイスの進化も実感できたHIKKYブース

個人的にもっとも興味を抱いたのは、バーチャルマーケットを主催するHIKKYのブースです。ブラウザベースでスマートフォンからもアクセスできるメタバース開発エンジン「VketCloud」と、2022年12月3日から18日にかけて開催される「バーチャルマーケット2022 Winter」の案内を行っていましたが、そこで使われていたデバイスはVRヘッドセットではなく、スマートグラスの「Nreal Air」でした。

「Vket Cloud」を体験するために用意されていたAndroidスマートフォン、そして薄型軽量スマートグラスの「Nreal Air」。従来は大画面でコンテンツが楽しめる、いわば「ポータブルホームシアター」「ポータブルマルチモニター」的なデバイスですが、HIKKYのブースではVket Cloudの世界に入り込んだかのような、VR的な没入体験ができる展示となっていました。

あくまでWebアプリケーションの画面をそのまま映し出している(=視差が無い)ため、VRデバイス特有の「立体感」こそ得られないものの、スマートフォンベースのメタバースプラットフォームやコンテンツを手軽に体験するには良好な機材だと感じます。デバイス自体が約79gと非常に軽く、画質も○。ポケットに入るサイズで、どこにでも持ち歩ける「スマートグラス」の可能性を強く感じるものでした。

またValveのモバイルゲーミングPC、「Steam Deck」にSteam版の「VRChat」をインストールし、「バーチャルマーケット2022 Summer」の会場の1つ「パラリアル大阪」のインスタンスにログインして来場者が自由に歩き回れるという試みも。VRChatは数多のアバターや3Dオブジェクトが並ぶため「負荷が高い」と言われがちですが、Steam Deck経由でリッチなVRChatのワールド内をスムーズに、快適に移動できることに驚かされました。UMPC(ウルトラモバイルPC)、あるいはポータブルゲーミングデバイスの進化の一端を体験できたように思います。

一方で、個人的に気になったのは「これって、Vket Cloudやバーチャルマーケット2022 Winterではなく、他社製のデバイスのアピールになってしまっているような?」という点。しかし、HIKKYのCEOである舟越靖氏のツイートによれば、今年の11月にこれらのデバイスに関連する新しい発表を予定しているとのこと。いろいろと期待が膨らむところです。

日本企業が取り組む、様々なメタバースサービスやXR関連技術を体験できる「METAVERSE EXPO JAPAN 2022 in CEATEC」。開催期間は10月21日までとなっています。参加には公式Webサイトからの事前登録が必須なのでご注意を。

(執筆: 武者良太 / 編集: 水原由紀)

(※2022/10/20/09:20……記事タイトルを再修正。)

(※2022/10/20/09:20……記事内容とタイトルを修正。「Nreal AirとSteam Deckで動作していたものはVKet Cloudである」という記述に誤りがあったため)


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