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統計・データ 2019.06.06

2023年までのAR/VR市場予測 年平均成長率は80%近く 企業利用が牽引

リサーチ会社のIDCは、2019年~2023年の5年間におけるAR/VR市場の予測(Worldwide Semiannual Augmented and Virtual Reality Spending Guide)を発表しました。市場規模は2019年の168億ドル(約1.8兆円)に対して2023年は1,600億ドル(約17.3兆円)。同期間の年平均成長率(CAGR)は、78.3%を見込んでいます。

商用分野の成長が牽引

IDCの予測によれば、AR/VR市場の成長を支えるのは企業での利用と公共投資の加速です。2019年~2023年の期間に最大の成長率を見込むのは金融分野(CAGRは133.9%)とインフラストラクチャー(CAGRは122.8%)です。製造業と公共向けがこれに続きます。比較するとコンシューマー向けの市場規模は、同期間で予測CAGRが52.2%と低くなっています。

商用分野でのユースケース別投資額を見ると、2023年に最大の金額を見込むのはトレーニング(85億ドル)。ついで設備のメンテナンス(43億ドル)、小売販売での展示(39億ドル)がトップ3になっています。一方コンシューマー向けのユースケースでは、VRゲーム、VRコンテンツ鑑賞、ARのゲームの3つの合計が208億ドルです。
2019年~2023年に最も高い成長が予測されるユースケースは、研究施設・フィールド学習向けのAR、公共インフラメンテナンス用途のAR、そして臨床解剖向けARです。

 

カテゴリー別で見えるARの成長

ハード・ソフトの別に見た予測もあります。5年間を通じてハードウェア向け支出が市場規模の過半を占め、ソフトウェアとサービス消費が続いています。ハードウェアの中ではARデバイスがCAGR189.2%と高い成長率を見せており、次いでVRホストデバイス(PC、スマートフォン、 ゲーム機など)が挙がります。

ソフトウェア支出では2022年にARソフトウェアがVR向けを逆転し、首位となる見込みです。

IDCのリサーチディレクターMarcus Torchia氏は、「ARは業務スピートアップ、リソースへのアクセス提供、複雑な課題解決といった点で力を発揮し、商用分野でシェアを拡大しています」とAR市場の成長を説明しています。「製造業、生活インフラ、情報通信、ロジスティクスなどの業界では、生産、メンテナンス、保守へのAR導入が加速している」ということです。

中国が最大市場を維持

地域別に見ると、リサーチ対象の5年間を通じて中国が最大のAR/VR市場と予測されています。米国がこれに続き、上位2カ国で2023年の市場規模の75%を占める見通しです。
一方で成長率を見ると、ヨーロッパ西部がCAGR101.1%と最も高く、米国と中国が続きます。

今回の発表はIDCが発行する「Worldwide Semiannual Augmented and Virtual Reality Spending Guide」にその詳細が報告されています。

2019年5月までに公開されたAR/VR関連の調査データは、こちらの記事でまとめて紹介しています。

(参考)IDC


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