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活用事例 2019.04.01 sponsored

どこからでもアバターで参加 HoloLensを使ったMRミーティングが実用化へ

眼鏡型のデバイスを装着し、遠隔地にいる相手のアバターとまるで現実で同じ空間にいるかのように会議を行う。そんなシーンが映画で描かれてきました。VRやARなどのデバイスが登場したことで、もはやフィクションではなくなりつつあります。

今回、紹介するのは株式会社南国ソフトが開発中のサービス「WHITEROOM For HoloLens」(以下、WHITEROOM)です。WHITROOMは、マイクロソフトのMRデバイスHoloLensを使い、遠隔地にいる相手と現実に同じ空間にいるかのようにミーティングを行うことができるリモートコラボレーションサービスです。

2019年内と言われている、HoloLensの次世代デバイス「HoloLens 2」の発売に合わせて一般向けのサービス開始を予定。先行して2019年5月からクローズドベータ版を提供します。

https://www.youtube.com/watch?v=PlYLf8wYpBg

VRやARなどを使った会議サービスは国内外で様々なものが登場しています。それぞれ特長がありますが、やはり気になるのは「使い勝手」。ビジネスで日常的に行っているミーティングで使えるものなのか。今回は、開発途中の「WHITEROOM」ベータ版を初代のHoloLensで体験してきました。

(HoloLens(左)とHoloLens 2(右))

遠隔地から複数人でMR会議

「WHITEROOM」では、対面で話すだけでなく、プレゼンテーションの作成・共有ができます。

1.まず専用Webサイトで部屋を作成し、参加するメンバーを選択。
2.次に、共有スペースに持ち込みたい素材のファイルを選びます。ファイルは3Dモデルやドキュメント、動画、音楽などが対応。直接ドラッグ&ドロップでもOK。

また、地名や住所を入力することで、Bingからの地図データを取得して地形の3Dデータを生成する機能も搭載されています。3Dデータを用意することなく、立体的な地形データをHoloLens側で表示することができます。

3.アップロードが終わったらHoloLensを装着し、アプリ「WHITEROOM For HoloLens」を起動。作成した部屋にログインし、共有スペースを任意の場所に作成することで、ミーティングに参加します。

PCで部屋を作り、素材をアップロードして、HoloLensをかけて共有スペースを作成する。最初にPCで操作をすることで、HoloLensの操作にもたつくことも少なく、非常に簡単にミーティングを開始することができた点が印象的でした。

共有スペース内ではお互いの姿はアバターで見えています。話している声も全く遅延がないわけではありませんが、気にならない程度で快適に話すことができました。

「WHITEROOM」では、素材を拡大・縮小したり、アニメーションを再生できるほか、3Dペンやスクリーンショット、音声録音といった機能が搭載されており、自分好みのプレゼンをプログラミング無しに作ることができます。またこれらの機能は無作為に実装されているわけではなく、会議などで必要な機能がコンパクトに含まれています。

■「WHITEROOM For HoloLens」で操作できる機能一覧
・登録した素材に対してアクションを付与できる(オーサリング機能)
・素材をタップして動画や3Dモデルに登録されているアニメーションを動かす
・素材の大きさや位置を変更
・3Dペン:空間や素材に記入
・スクリーンショット:参加者目線で視界を撮影
・音声録音:自動テキスト化され、Webサイトに保存(議事録機能)


(地名を入力するだけで出現した地形データ。手元に移動させ、大きく拡大させて、移動経路や場所を3Dペンで描くといった確認作業ができる)

シンプルで使いやすさが行き届いている設計

「WHITEROOM」は、全体的にシンプルで分かりやすく設計されているUIが印象的でした。また、使いやすさに配慮し、極力不便でストレスを感じないような工夫が施されています。筆者が良いと思ったポイントを3つ紹介していきましょう。

HoloLensは視野角が狭いことが問題として挙げられており、会議をしている際に「誰が何を指して話しているか分かりにくい」ことも往々にしてあります。「WHITEROOM」では、アバターの視線の方向がポインタとして表示され続けるので、何を見て議論しているかが一目で把握できました。

また、PCでアップロードした素材はすぐにHoloLens側で表示されます。サイトにアップロードしてから表示するまでに多少時間がかかるのが通常ですが、南国ソフトが自社開発した技術により直接HoloLens側に取り込む仕組みを構築しています。専門的知識やサーバー側でUnityのライセンスなど必要せず、アップロードからHoloLensに表示するまでの速度が速い点が魅力的です。

■通常のプロセス
1.WEBから素材(FBXファイル等)をサーバー側にアップロード
2.サーバー側でアセットバンドルを作成(ビルド発生)
3.HoloLens側にアセットバンドルをダウンロード/展開

■WHITEROOMのプロセス(前述の2の工程を省略)
1.WEBから素材(FBXファイル等)をサーバー側にアップロード
2.HoloLens側に直接素材をダウンロード、読込/展開

痒いところに手が届いていたのは、スクリーンショットや音声録音です。HoloLensに保存されて後から取り出すのではなく、リアルタイムにWebサイトに反映されます。転送などの手間がかからず、すぐにPCで確認ができます。

音声通話とプレゼンツールの融合をHoloLensで実現

HoloLensを使った時に感じるちょっとした不便さ。それをソフトウェアのエンジニアリングで使いやすい体験デザインに落とし込んでいます。

こうした体験デザインは、WHITEROOMを開発した南国ソフトがこれまで取り組んできた実績に裏打ちされたものです。

同社は、マイクロソフト出身のメンバーが2006年に設立したコンサルティング・開発会社です。「WHITEROOM」を担当し、xR事業を統括する秦勝敏氏もマイクロソフトでUX(ユーザーエクスペリエンス)のコンサルティングに携わってきた人物です。

南国ソフトでは、5年ほど前から空間を使った次世代のUIとしてのVRやARに着目して事業をスタートしました。VRゲームなども制作して試行錯誤を繰り返してきましたが、ヒューマンインターフェースという観点からMRの技術領域に強い可能性を感じたとのこと。

2018年にはマイクロソフトがHoloLensの開発会社に対して展開している「Mixed Realityパートナープログラム」に認定パートナーとして参画しました。HoloLensと触覚デバイスを組み合わせてHoloLensで見えているものに触れる「ほろふれる」や、日比谷で開催された「ゴジラ・ナイト」でHoloLensを使った戦略会議の制作を手がけてきました。


(2018年5月24日〜25日、日比谷ゴジラスクエア開催された「ゴジラ・ナイト」の第一部「第一部:日比谷ゴジラ迎撃作戦 戦略会議」の制作を手がけたのが南国ソフト)

「WHITEROOM」は開発当初、HoloLens向けのトレーニングアプリとして開発が進められていました。2018年11月のイベントではアルファ版として、噴火警戒レベルの火山が噴火した時に逃げる経路を登山前に地形データを使用して学ぶデモ、を展示しました。

そこで「体験者から地形データの評判が思っていた以上に良く、テーブルを囲むような箱庭的な状況での議論における地図データとの相性良さを実感した」(秦氏)とのこと。従来の二次元の地図を三次元の地形データに変換することで、移動したり触れることが可能となります。

こうして誕生したのが「WHITEROOM」です。これまで音声通話とプレゼンツールで共有していたものを、「WHITEROOM」を通してハンズフリーでさらに直感的に共有することを目指しています。

また、秦氏はHoloLensのユースケースとして挙げられているシチュエーションプランニングとも相性がいいと話します。「企業や行政による問題分析・計画立案の用途としても活用が見込めるのではないか」とのこと。実物の模型などを必要とせず、MRで立体的なオブジェクトを表示できるところから「地理的な要素とホログラムを組み合わせて共有することで、遠隔地でも迅速に分析や戦略立案を行える可能性がある」と語っています。

秦氏は「xR(VR/AR/MR)は要件に応じてUI/UXを調整できることが最大の魅力」と語りました。秦氏は、「地形データにリアルタイムのデータを統合できるようになったら、例えば運送会社が車両の位置をモニタリングする用途も可能になる。分析・作戦会議はMRでさらに活用されてく」と話しています。

2019年5月からはクローズベータ版の提供を予定

南国ソフトでは企業向けにクローズベータ版を2019年5月から提供するとしています。得られたフィードバックなどを基にサービスのクオリティを上げながら、HoloLens 2への対応を進めていくとのこと。

特に海外との通信遅延の懸念に関しては、「商社系のお客さまなどと協力し、日本と海外で安定して使用できるか検証していきたい」とのこと。東京ー名古屋間での検証は行って問題なかったとのことですが通信環境の安定性も様々な海外での利用も試していきます。

すでに予定しているアップデート予定として、秦氏は「iOS・Androidのマルチデバイス対応」を挙げました。スマートフォンやタブレットなどから参加することができます。

現在の最大参加人数は4人ですが、「どれくらいまで多くできるかが課題。人数を増やして安定させるためにも帯域の問題を解決していきたい」と意欲を見せていました。

他にも、PCから参加できるWeb版の開発やMicrosoft Office文書対応やPDFファイルへの対応も進めていきます。

コンテンツ東京に出展

「WHITEROOM For HoloLens」は、2019年4月3日から5日に東京・ビッグサイトにて開催される「コンテンツ東京 2019」の南国ソフトブース(西1ホール 4-32)にて展示されます。ブースでは、「WHITEROOM」による未来のプレゼンを体験できます。

また、当日はVR空間に3Dのアートを描くVRアーティスト・せきぐちあいみ氏によるライブペイント共有体験も実施されます。せきぐち氏はGoogleのVRお絵かきソフト「Tilt Brush」を使用したライブパフォーマンスで知られています(紹介記事)。せきぐち氏のアートパフォーマンスに、体験者が「WHITEROOM」で参加し、作品が作られていくプロセスを体験できます。各日約3ステージを予定、体験は先着順となります。詳しくはブースの係員にお問合せをとのこと。

株式会社南国ソフト公式サイト
Nangok R/Studios(南国ソフトのxR事業のブランド名)


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