HTCの中国担当のプレジデントであるAlvin Wang Graylin氏は、先週行われた「Unity Vision Summit in Asia」において今後2年間のVRについて大胆な予想を発表しました。
今後2年間で実現すると予想するもの
2017年の予想
・プロによるVR作品は10万タイトルを超える
・新しい開発ツールやカメラによってユーザーが作成するVRコンテンツが爆発的に増える
・2017年の第4四半期にはVR対応PCの売り上げが標準PCを上回る
・モバイルVRの売上が5000万台を超える
・VRデバイスを持つことがユーザーにとってステータスに感じるようになる
・教育分野がVRを成長させる立役者となる
・VRを用いた広告が開発者の収入源になり始める
・VR開発者が不足して、彼らの給与が上がる
・バーティカル市場(金融・運輸・医療など)がVRを大きく採用し始める
・誰かがVRで30日を過ごす
2018年の予想
・通常の映画と同じ上映時間のVR映画が制作され、大きな成功を収める
・不動産業者がVR対応のマイクロアパートメントを発売し始める
・VR開発者の養成コースが世界中の大学で最も人気のある専攻になる
・市場においてARとVRが切り替え可能な機種がヒットする
・高齢者や単身者向けVRコンパニオンがAIを活用してより自然に相手ができるようになる
・企業はVRを使った在宅勤務制度をスタートする
・セレブのライフストリーミングが新たな社会現象となる
・すべての主な小売業者がVRショッピングの提供を開始する
・VRによる社会課題の解決がきわめて強い牽引力をもつ
・ハイクオリティのVR MMORPGがリリースされてヒットする
これらの予想はかなり大胆なものが含まれますが、Graylin氏はHTC社の中国リージョンのプレジデントであり、自社のVRプロダクトプランニングのキーパーソンであることからこのような予想をすることができる人物であると考えられます。
これらの予想のうち、5000万台のモバイルVRの販売をGraylin氏が話した背景を考えてみます。HTCは自社ブランドのモバイルVR用スマートフォンをまだ発売していません。しかし、彼らはグーグル製と言われているスマートフォンPixel、Pixel XL(Daydream VR対応となる初めてのスマートフォン)を製造しています。
VRのリーディングカンパニーであり、世界で最も有名なスマートフォンの製造会社であるHTCはまさに自社ブランドのモバイルVR用スマートフォンを発売するポジションにいると考えられます。
いくつかの予想のうち、すでに実現が迫っている物もあります。VRヘッドセットを被り続けて生活するギネス世界記録はすでに1日を超えています。また、非公式な記録であれば4日以上という記録もあります。誰かが30日間連続を挑戦するのは自然な流れです。
「VR Readyのマイクロアパートメント」という発想はかなり不思議に聞こえるかもしれません。しかし、中国の人口密度が特に高い都市部の中心部にあるアパートに対して、VRを追加してセールスポイントとするのは悪くないアイディアです。HTCは既に中国系ホテル会社と客室内のViveセットアップに関するパートナーシップを結んでいます。
解決すべき課題
Graylin氏は、希望的な予想だけでなく未だVR産業が直面している多くの課題があることを認めています。
・新しい収益モデル
・キラーコンテンツ
・より自然なUI
・より良いディスプレイ
・AIのより強い統合
・低消費電力かつ高い処理能力
・より速いネットワーク(LAN/WAN)
・バッテリー技術の向上
・高密度ストレージ
これらの課題は、チャンスと捉えることもできます。例えば、UIに関しては、すでに多くの開発者が取り組んでいて、さまざまなインタラクション方法が提案されています。しかし、今のところ確立した手法はなく、今後も検討が進んでいくと考えられます。
(参考)
HTC Vive Exec Makes Predictions for the Next 2 Years of Virtual Reality – (英語)
※Mogura VR は、Road to VRとパートナーシップを結んでいます。