アイルランドのダブリン大学トリニティ・カレッジからスピンアウトしたスタートアップ、Volograms Ltdは、シードラウンドで60万ユーロ(約7,800万円)の資金調達を行いました。この資金調達により、同社が開発するAR/VRコンテンツ制作の次世代技術について、市場展開を進めるとしています。
カメラでの撮影画像からVR/ARコンテンツ制作
Vologramsの開発する技術は、カメラで撮影された写真から手軽にVR/ARコンテンツを制作するものです。様々な角度から撮影した画像を、VR/ARで視聴する立体的なホログラム(Volumetric Holograms=Volograms)に変換します。
このシステムの特長は、撮影場所を問わず、異なる種類のカメラで撮影した画像を使ってホログラムを構成できる点です。さらに、スマートフォンのようなデバイスを使用し、ホログラムからVR/ARコンテンツを制作することも可能。用途としては、デジタルコンテンツの編集、ブランドの広告戦略、企業の研修など様々なものを挙げています。
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Vologramsを立ち上げたのは、トリニティ・カレッジでコンピューターサイエンスを専攻する3名の研究者です。同学のクリエイティブ・テクノロジーの教授をアドバイザーに招き、投資を主導したAtlantic Bridge Partnerのメンバーと、ARグラス企業DAQRIの代表取締役を、ボードメンバーに迎えています。
現実の画像から手軽にコンテンツ制作できるツールが必要
VR/AR市場規模は、2016年時点で50億ドル(約5,500億円)未満だったものが、2021年には1,080億ドル(約11.9兆円)まで成長するとも言われています。新たなVR/ARデバイスの開発や発表が進む中、ARは「第8世代のマスメディア」とも呼ばれ、スマートフォンのような巨大な次世代プラットフォームになると期待されています。
しかし一方で、現在公開されているコンテンツは3Dアーティストの作品や、3Dスキャンで撮影された画像が大半です。ARやVRが普及するには、もっと手軽に3Dコンテンツを撮影できるツールが必要でしょう。Vologramsが手掛けるのは、まさにこの分野になります。
VologramsのCEO、Rafael Pagés氏は、資金調達に際し次のようにコメントしました。「専門家が描くように、ARが次世代のプラットフォームになるためには、より簡単にコンテンツを作る方法が必要です。我々は現実の世界を撮影してARやVRコンテンツを作るツールの必要性を強く感じています。そして、自分たちの技術がこのために役立つだろうとわくわくしています。今回調達した資金を活用し、世界中の多くの人に我々の技術を届けていきます」
(参考)Irish Tech News