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活用事例 2018.05.28

一体型VRデバイスVive Focus大幅アップデートへ コントローラー6DoF化やスマホ連携

HTCは5月25日、VIVE Ecosystem Conference(VEC2018)を開催し、一体型ヘッドセットVive Focusを中心とする自社製品やサービスについてのアップデートを発表しました。

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Vive Focusは、スマートフォンやPCへの接続を必要としない一体型のVRヘッドセットです。現在は中国国内向けのみで販売されていますが、HTCは3月、 Vive Focusを2018年後半にグローバルで発売すると発表しました。独自のモバイルVR向けプラットフォームVive Waveに対応しています。

Vive Focusの体験レポートはこちらです。

VEC2018では、新たな機能、パートナーシップ締結について多くの情報が公開されました。

Vive Focusシステムアップデート

同日リリースされたアップデート2.0により、Vive Focusを装着したままスマートフォンが受信したメッセージを確認し、かかってきた電話に応答することが可能になります。まずはHTCの最新スマートフォンU12+でこの機能に対応、今後全てのHTC製スマートフォンユーザーと、Vive FocusやHTC Viveとの連携を実現します。

また移動中にデバイスを使うユーザー向けに、新たに「パッセンジャー・モード」が導入されました。これまで3時間だった連続動画視聴時間を4時間に延長し、座ったままでも電車の動きなどにセンサーが反応し、トラッキングの制約なく視聴できるように改善しました。

そしてパワーボタンをダブルクリックして起動する「サラウンディング・モード」では、前面に搭載されたカメラを使い、ヘッドセットを外さなくても周囲が見えるようになります。

その他のアップデートとして、アプリをマイクロSDカード(最大2TB)に保存できるようになりデータ容量が拡大したこと、モバイル向けのViveport Mがクレジットカードに対応したこと、が挙げられます。

コントローラーのトラッキング機能も改良

Vive Focusのユーザーエクスペリエンスを高めるアップデートの中で最も印象的だったのは操作関するものです。HTCは、Vive Focusにコントローラーなしジェスチャによる操作を導入するソフトウェア開発キットを公開すると発表。さらにコントローラーについて、現在の3DoF(回転のみ認識)から、6DoF(位置トラッキングを含む前後左右上下)のコントローラーのように操作できるようになる、と明らかにしました。ハードの変更は伴わず、デバイスのフロント部分にある既存のカメラとAIコンピュータービジョンを活用するとのこと。

また、スマートフォンU12+の画面に映るコンテンツを、Vive Focusに転送してVR画面で見ることもできるようになります。

このほかHTCは、ViveportやSteamといったPC向けVRコンテンツのプラットフォームから、5GHz帯のWi-Fiを使い、ワイヤレスにVive Focusへコンテンツをダウンロードするデモを行いました。最新の「Riftcat VRidge」をアプリストアでダウンロードすれば、一体型ヘッドセットVive Focusでも、PC向けVRコンテンツが楽しめるということです。

モバイルVRのエコシステム統合に向けて

HTCは昨年11月より、新たにモバイルVRプラットフォームVive Waveの展開を始めました。Vive WaveをモバイルVRヘッドセットのオープンプラットフォームとすることで、中国市場のモバイルVRエコシステムを統合することを目指しています。現在Pico、iQIYI、Skyworthといった企業がこのネットワークに参加しています。

HTCはハード面での統合だけでなく、コンテンツの面からもエコシステム統合を図ると表明しました。Viveportで公開するミニゲームアプリ「レディ・プレイヤー1: オアシス・ベータ」に、「アバター制作」、「ソーシャルエリア」の機能を追加、世界中から人々が集まるソーシャルVRにする考えを明らかにしました。開発者向けに「The Oasis Expansion」プログラムを公開し、「オアシス・ベータ」向けのアプリを募っています。

また関連会社のViveduからは、教育向けVRシステム「Vive Focus Classroom」の提供を発表しました。何百人もの生徒が同時に、Vive Focusを使ってVRの授業に参加できるという仕組みです。遠隔地からも授業に参加できるこのシステムで、VRを使った教育を一段上のレベルに引き上げるとしています。

スポーツ、デバイスメーカーとのパートナーシップ

VECでは新しいパートナーシップも発表されました。まずはメジャーリーグ(MLB)です。テンセントの動画ネットワークを使い、中国の主要10都市以上で野球の試合のVR中継を行います。

次に、F1チームのマクラーレンとの提携です。共同でVR/ARコンテンツを制作するほか、VR専用eスポーツでも協力します。マクラーレンはレーシングゲームのeスポーツ大会を開催し、レースドライバーの発掘を行っています。この大会のスポンサーでもあるHTCと共に、巨大なeスポーツ市場、マクラーレン製自動車の販売市場の中国で事業を展開する狙いです。

そして最後に、HDD製造メーカーであるシーゲートとのパートナーシップが発表されました。2社が開発したのは、世界初というVR専用の充電・ストレージデバイスです。「VR Power Drive」というこのデバイスは、 Vive Focus専用に作られています。接続すればサブバッテリーとしてバッテリー持続時間を倍近く伸ばすほか、動画や音楽を保存するストレージにもなります。今年の第3四半期の出荷を予定しているということです。

アップデートされたシステム2.0は5月25日からダウンロード可能、その他の機能は第3四半期中のリリースが見込まれています。ソフトウェア開発キットは、登録した開発者向けにViveのデベロッパーウェブサイトで公開されています。

最新の技術を詰め込んだVive Focus。日本でも発売されるのかどうか、グローバルでの展開を含め、今後の続報が待たれます。


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