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企業動向 2024.06.05

Varjoがクラウドストリーミング「Varjo Reality Cloud」の開発を終了、企業向け移行支援などは個別に協力

2024年5月末、フィンランドのVarjoは、XR向けクラウドストリーミングソリューション「Varjo Reality Cloud」の開発終了を明らかにしました。既存顧客に対しては、移行支援などを個別に行っています。

Varjoは「人の眼レベル」の超高解像度を持つXRヘッドセット「XR-4」などを開発。航空機・宇宙船メーカーのロッキード・マーティンや電気自動車メーカーのリヴィアン、自動車メーカーのアストンマーティンなど、映像の忠実度や緻密さが要求されるシーンで採用されています。

予想以上に多様な要件やセキュリティ、「VRCは最も効果的ではない」と判断

Varjoが開発中止を発表した「Varjo Reality Cloud」は、主にVarjo製品を対象としたXRクラウドストリーミングサービスです。AWS(Amazon Web Services)と密接に協力して開発されたこのソリューションは、「人の眼レベル」の超高解像度のVRコンテンツを、遠隔地に置かれたデータセンターからストリーミングすることで、手元に高性能なPCがなくとも閲覧できます。アイトラッキングを活用したフォービエイテッド・レンダリング(※)を低遅延・遠隔で実現する技術も組み込まれていました。

(※フォービエイテッド・レンダリング……ユーザーの視野の中心に近ければ近いほど高解像度で、遠ければ遠いほど低解像度で描画することで、レンダリングリソースの最適化を図る手法、またはそのための技術のこと。人間の眼は視野の中心の解像度が高く、周辺部は解像度が低い。したがって、「ディスプレイ上のすべての場所を高解像度で描画する必要がない」ことを利用し、グラフィックの処理能力を節約し、別の処理にあてることができる)

Mogura VR Newsが「Varjo Reality Cloud」の開発中止に際し、Varjoの広報担当者から得たコメントは以下の通りです。

これまでの3年間、Varjoは企業顧客向けにXRクラウドストリーミング機能を構築するパイオニアとして活動してきました。われわれは最高品質のXRストリーミングを実現する方法を模索し続けてきましたが、2024年6月をもって、Varjo Reality Cloud(VRC)の開発を中止することを決定しました。

当社の顧客は世界最大規模の企業や組織であり、XRクラウドストリーミングに対する彼らの要件は、当初の予想以上に多様であり、またセキュリティが重視されています。VRCはVarjo専用のクラウドストリーミングサービスであり、彼らにとって最も効果的なサービスではありませんでした。

その代わりに、VRやXRの利用を拡大する企業向けには、サードパーティのストリーミングソリューションとローカルストリーミング機能を強化することに注力します。

Varjoの担当者によれば、サードパーティのストリーミングソリューションについては「個別の顧客と、そのニーズに最適な選択肢を調査中」とのこと。また、Varjo Reality Cloudをすでに利用している顧客の移行支援については、それぞれの企業と個別に協力を行っているほか、XRストリーミングソリューションのニーズについても「引き続き、顧客と1対1で協力する」方針を明らかにしました。

(参考)Varjo, Road to VR
※Mogura VRは、Road to VRのパートナーメディアです。


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