米軍では消防や医療トレーニング、実戦など様々な分野にVR/ARが導入されています。今回新たにVRトレーニング導入を進めるのは、アメリカ空軍。その目的は、増加する隊員の自殺抑止です。
相手の問いに答え、自殺を防ぐ
2021年2月、トラヴィス空軍基地の上層部のメンバーらは、自殺防止目的のVRトレーニングテストフェーズに参加しました。30分間のトレーニングプログラムで、参加者は自分が接している相手を落ち着かせ、助けになることを目指します。
相手は精神的な苦痛を示しており、参加者に複数の質問を投げかけ、助けを求めてきます。ユーザーが回答を探す際には専門のコーチがサポートし、何をどのように答えれば良いのか、その理由は何か、理解を促します。
特長は「声に出してセリフを言う」こと
同空軍基地のVR導入担当者によれば、このトレーニングの特長は「音声で回答するため、これまで言う必要もなかったようなセリフを、大声で言わなければならない」こと。隊員同士で行うロールプレイングといった従来型の学習では、強く伝えるべき内容を、特段大声で言うこともありませんでした。
しかしこのVRトレーニングではシナリオを進めるために、「家に銃を持っているのか?」「自分を傷つけようとしているのか?」等のセリフを、実際に口に出してはっきり言わなければなりません。
アメリカ合衆国国防総省のデータによると、空軍兵士10万人当たりの自殺者数は、2018年の18.5から2019年には25.1まで上昇しています。このような悲惨な状況を打破するものとして、VRトレーニングに熱い視線が注がれています。
様々な分野で導入進む
米軍でのVR/AR活用事例はこちらの記事で取り上げています。
(参考)U.S. AIR FORCE、VRScout
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