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作業補助・ナビゲーション 2018.10.19

パイロットがVRヘッドセットを装着して操縦 気になる新たな飛行技術

様々な情報を瞬時に把握し、飛行機を操縦するのは難しい作業です。VR/ARソフトウェアを手がける米国・テキサスのスタートアップThrust Vectorは、一体型ヘッドセットOculus Goを使い、パイロットにリアルタイムのナビゲーションを提供する技術を開発しています。

周りの景色と飛行情報をVR内で確認

コックピットに座るのは、同社の共同創設者John Nagle氏とJohn Paul Sommer氏。Nagle氏がOculus Goを装着してハンドルを握り、Sommer氏がサポートに回っています。Nagle氏の視界には、実際に飛行する空間のイメージが鮮明に見えているだけでありません。高度等の情報を、ヘッドセットに付けたGPSとADS-B(Automatic Dependent Surveillance-Broadcast: 航空機が現在の位置と高度を放送するシステム)機器によって取得し、同時に見ているのです。Mapbox社の地図ソフトウェアがリアルタイムにUnityで生成されるビジュアルを更新し、周りの様子を正確に映しています。

下を向いての確認が不要

Nagle氏は公式ブログで「飛行機を操縦している時に、通常見える景色を遮るような物を装着するのは、一見理にかなっていないと受け取られるかと思います。しかしこれまでのテスト飛行ですぐに、とても自然に感じられるようになりました」と記しています。
また、「操縦が簡単になっただけでなく、高度や行き先を正確に把握するのが楽になりました。(これは、画面にヘッドアップディスプレイのように情報を提示しているからです、下を向いて機器をチェックする必要がありません)」とも述べています。

また同氏はブログ記事の中で、この用途にはARの方が適しているのではないか、と聞かれるということも明らかにしています。VRの方を好んでいるという考えを示した上で、Nagle氏は「ARならば機器を見やすくなるかもしれない」と記しています。

現在はヘッドセットにカメラを付け、コックピット内のイメージもVR空間に映し出す方法を検討しているとのこと。

両氏はこれまでに24回近い「VR VFR(有視界飛行方式)」フライトを成功させたといいますが、まだ課題があります。標準的な3DoF(回転のみを認識)のヘッドセットでは、着陸時に高度約50フィートまで近づいてくると、正しく目標の場所に到達できないということです。

同社は今後FCC認証を取得し、この飛行技術を商用化することを計画しています。

(参考)VRScout
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