ARスタートアップの米Taqtileは、半導体大手のクアルコムとの協業を発表しました。Taqtileは、クアルコムのAR開発プラットフォーム「Snapdragon Spaces」を用いた、新しいソリューション開発を目指します。
産業向け技術開発のスタートアップ
Taqtileは2011年創業。米国ワシントン州・シアトルに本社を構え、AR・MR・VR技術の研究開発やソリューション販売を行う企業です。
同社は産業向けMRソリューションである「Manifest(マニフェスト)」で知られています。「Manifest」はMRデバイスを通して、視野に存在する機器や装置に作業指示を重ねて表示できるシステム。建設業や製薬業などの製造現場に従事する従業員向けに開発されました。
「Manifest」を使うと、AR上での指示はテキスト、ビデオ、画像、音声、図面などでわかりやすく表現され、現場の作業者は機器・装置の操作、保守、修理を円滑に行えます。また作業や設備の管理、分析、監査なども一元化されるため、効率よく業務ワークフローを改善できます。
本記事執筆時点では、マイクロソフトのMRデバイス「HoloLens 2」やMagic Leap社のMRデバイス「Magic Leap 2」などに導入されており、今後も対応デバイスを増やす方針です。
Snapdragon Spacesを使って新製品開発
今回の協業により、Taqtileはクアルコムが提供する「Snapdragon Spaces XR Developer Platform(Snapdragon Spaces)」を利用した新たなソリューション開発に取り組みます。
「Snapdragon Spaces」はスマートフォン接続のARグラスのデバイス設計そのものや、ARグラス向け3Dアプリケーション開発・商用化を支援するプラットフォーム。VR/ARの標準仕様「OpenXR」にも対応し、ハードウェアをまたいだアプリケーションの移植が可能となっています。
本協業に際し、TaqtileのCTOであるJohn Tomizuka氏は「クアルコムのSnapdragon Spacesプラットフォームにより、産業用ARソリューションの市場を進化させ、当社の顧客とデスクレス作業員のパフォーマンスを劇的に向上させます」とコメントしています。