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イベント情報 2023.09.19

英国最大の映画祭「レインダンス」XR部門が2023年も開催! 注目のノミネート作品を紹介

英国のレインダンス映画祭のXR作品部門レインダンス・イマーシヴのノミネート作品が発表されました。ノミネート作品の総数は40。XRに関わる幅広い作品が選出されており、中には日本のクリエイターが手掛けたものも見られます。

本記事では、2023年度の「レインダンス・イマーシヴ」の作品から一部を抜粋してご紹介します。

「レインダンス・イマーシヴ」とは?

「レインダンス・イマーシヴ」とは、1992年設立の欧州最大の映画祭・レインダンス映画祭にて設けられた、XR作品を対象とした部門です。今年で8年目を迎える部門で、12月2日(土)と12月3日(日)に「VRChat」上で授賞式が開催予定です。

本部門にて今年用意された賞部門は、以下の8つとなっています。

  • BEST IMMERSIVE EXPERIENCE
  • BEST IMMERSIVE NARRATIVE
  • BEST IMMERSIVE GAME
  • BEST IMMERSIVE WORLD
  • BEST IMMERSIVE MUSIC EXPERIENCE
  • BEST IMMERSIVE ART EXPERIENCE
  • BEST SHORT FILM OF VR
  • BEST MUSIC VIDEO OF VR

ALBA

ノミネート:BEST MUSIC VIDEO OF VR

「ALBA」は、VRボーカルデュオ「AMOKA」のオリジナル楽曲です。「VRChat」を中心に活躍する、日本発VR音楽アーティストの代表格とも言えるユニットが、7月15日に発表した13thシングルとなります。

ノミネートされたのは本楽曲のMV。全編を「VRChat」の有名ワールド「ORGANISM」にて撮影しているのが最大の特徴で、広大かつ深淵な「ORGANISM」の世界観が楽曲とともに伝えられる映像となっています。

AMOKA STARLIGHT LIVE SHOW

ノミネート:BEST IMMERSIVE MUSIC EXPERIENCE

「AMOKA」による音楽ライブショーもノミネートされました。これを受けて、「AMOKA」による特別ライブが開催されることが発表されました。今後続報があるとのことですが、「レインダンス・イマーシヴ」の公式サイトでは「チケット予約は10月25日より開始」と案内されています。

Beyond a bit – 想像のちょっと先へ

ノミネート:BEST IMMERSIVE ART EXPERIENCE

Beyond a bit – 想像のちょっと先へは、「VRChat」にて体験できる没入型コンテンツです。ワールド制作者のEstyOctoberさんを中心に結成された「team:beyond_a_bit」により制作され、今年1月に開催された「SANRIO Virtual Festival 2023」にてクリエイターパフォーマンスのひとつとして実施。圧倒的な体験によって多くの話題を集めました。

その後、「VRChat」にて単独ワールドとして再公開され、本記事執筆時点で約36万訪問を記録する人気ワールドとなっています。なお、本ワールドはヴェネチア国際映画祭のXR部門「Venice Immersive」にも、「VRChat」ワールドの一つとして選出されています。

VR Japan Tours : Under the Autumn Moon

ノミネート:BEST IMMERSIVE EXPERIENCE

VR Japan Toursは、日本発のVRChatイベント団体です。「世界のどこからでもリアルな日本を楽しめる」をコンセプトに掲げ、日本国外ユーザーを対象とした、日本の文化と芸術を楽しめるバーチャルツアーを提供しています。結成は2023年3月で、これまでツアーイベントは8回開催され、およそ150人が参加してきたとのことです。

ノミネートに合わせて、同団体による特別イベント「VR Japan Tours : Under the Autumn Moon」も開催されます。「日本の秋」にちなんだバーチャルツアーとなり、VR書道体験や、VRモーションアクターチーム「カソウ舞踏団」によるダンスパフォーマンスを通して、日本の「月見文化」を楽しめるとのことです。

上記特別イベントは、11月4日(土)から12月3日(日)にかけて、4回程度開催予定とのこと。詳細は公式X(旧Twitter)にて告知予定です。

Magnetize

ノミネート:BEST IMMERSIVE WORLD

Magnetizeは、「VRChat」に公開されているワールドのひとつです。古びたテレビが置かれた、何の変哲もない部屋からスタートする、パズル要素とアクション要素が備わったワールドです。

「Magnetize(磁化する)」という名前の通り、様々なオブジェクトを磁力のように遠くから動かせるのが大きな特徴です。このギミックを用いて、様々なパズルを解いていきながら先に進むのが大きな目的となります。

ギミックもさることながら、圧巻なのが各空間のつながり方。テレビのある居間から出発し、テレビの中、ファミコン「ドンキーコング」のようなゲームの世界、そして子どもが夢想するような不思議な世界……と、まるで夢でも見ているかのような不可思議な空間がシームレスに連続する、超現実的な体験ができるワールドです。

全体的な体験も圧巻ながら、道中に落ちているコインを集め、ぬいぐるみが出てくるガチャガチャを回すミニゲーム要素もあります。Quest対応もされており、いろいろな人と訪れて楽しめるワールドです。

Behind the Frame: The Finest Scenery VR

ノミネート:BEST IMMERSIVE NARRATIVE

Behind the Frame: The Finest Scenery VRは、短編アドベンチャーゲーム「Behind the Frame 〜とっておきの景色を〜」のVR版タイトルです。9月15日にSteamとMeta Quest Store、PlayStation Storeにて発売されました。

ゲームの内容は、グラフィックデザイナー兼イラストレーターの女性となって、アパートの一室で絵を描き、時には部屋を探索しながらストーリーを進めていきます。VR版では、アパートの一室は3D空間となり、実際に歩き回ることが可能となったほか、色を塗る操作もVRならではな直感的なものになっています。

キャラクターデザインはスタジオジブリの影響が見られており、そのデザインやアニメーションを織り交ぜた演出などから、元タイトルの時点で様々な国際的な賞を受賞している一作です。

CAPSULE Live in VRChat “メトロパルス”

ノミネート:BEST IMMERSIVE MUSIC EXPERIENCE

「CAPSULE Live in VRChat “メトロパルス”」は、エレクトロ・ポップ・デュオ「CAPSULE」が「VRChat」にて実施したバーチャルライブです。

Activ8アソビシステムの共同プロダクションである「ANNIN」がプロデュースを、Activ8が制作協力として担当し、制作スタッフにはライブ制作監督にReeeznDさん、「SANRIO Virtual Festival」のパフォーマンスで多大な反響を呼んだバーチャルアーティストのキヌさんが参加。豪華な布陣によるVR空間に構築された「CAPSULE」の世界観は大きな反響を呼び、8月5日に実施された後、再公演が追加で2回実施されました。

また、「CAPSULE」の楽曲「バーチャル・フリーダム」に登場した空間を「VRChat」に公開した特設ワールド「CAPSULE HOUSE」は、現在も常設ワールドとして公開されています。非常におしゃれな邸宅になっているので、フレンドとの歓談にも最適です。

VMoVA「THICKNESS OF CALLIGRAPHY」

ノミネート:BEST IMMERSIVE ART EXPERIENCE

VMoVA(Virtual Museum of Virtual Art)は、「VRChat」にオープンした「仮想芸術」を展示するミュージアムです。今回ノミネートされたのは、現在「VMoVA」にて開催中の企画展「THICKNESS OF CALLIGRAPHY」です。

「THICKNESS OF CALLIGRAPHY」では、クリエイター・薄煙さんによる「三次元書道」の作品が、様々な手法・コンセプトごとに展示されています。三次元空間に書き起こされた書道作品は、サイズはもちろん「書体」のバリエーションがとにかく多彩。大規模な展示空間とともに、迫力ある作品を鑑賞できます。

各展示のキャプションは中国語に加え、英語、日本語にも翻訳されています。「書体」の解説や、薄煙さんが「三次元書道」を生み出し、研究するに至ったエピソードなど、展示をより深く理解できる文章が多数あるので、鑑賞の際はぜひ合わせて読んでみるのがおすすめです。

This World Will Be Deleted In 24 Hours․

ノミネート:BEST IMMERSIVE WORLD

This World Will Be Deleted In 24 Hours․は、「VRChat」に公開されているワールドのひとつ。その名の通り、このワールドは24時間が経過すると削除されてしまいます。

しかし、中央に設置されたボタンを押すと、24時間のカウントがリセットされます。タイマーの状態はすべてのインスタンスで共有されているため、誰かが押せばこのワールドは生き続けます。つまり、誰もが完全にこのワールドの存在を忘れるまで、このワールドは消えることはありません。

ところが、タイマーが1時間進むごとに、ワールド内に様々な変化が起こるという仕掛けもほどこされています。すべての演出を見るためには、当然ながらボタンを押してはいけません。いつ、誰が押すかわからないため、時間経過演出を見れるかどうかは完全に運。筆者もまだ2時間経過までの演出しか拝めていません。

本ワールドは2023年2月に公開されて以後、本記事執筆時点まで存続し続けています。ある意味では「忘れられる」ことで完成されるものの、その道中の演出を見逃したくない、なにより「ここがずっと残ってほしい」という願いがある限り、その完成は決して訪れない……という、非常に実験的なワールドです。

「レインダンス・イマーシヴ」公式サイトはこちら。
https://www.raindanceimmersive.com/


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