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データ可視化 2019.06.12

VR内でコードを読む 複雑な依存関係も3Dで見える化

3Dのネットワーク状の構造物としてプログラムのコードを視覚化し、さらにそれをVR内で眺めることができるツールを手がけるPrimitiveが、先日、Vive X fundにて開催されたピッチコンテストで発表を行いました。
「Primitive」によって、コードを読むという体験がこれまでのものと一新されるかもしれません。VR内に広がるいわばコードのネットワークの中へ潜り込みながら読むことができそうです。

3Dのネットワーク構造としてコード全容を展望

Primitiveは現在、統合開発環境であるVisual StudioやIntelliJ IDEA向けのプラグインとして開発されています。

プロダクトのコードをまるごと3Dの立体として描画することが可能となっており、コード同士の依存関係などがネットワーク構造として表現されるため、プロダクトのコードの全容をより直感的に理解できるようになることが予想されます。

一方、従来の開発用のエディタのように、それぞれのソースコードの詳細を確認することもできるようにもなっています。

コードに囲まれながらディスカッションも可能

Primitiveの特徴はこの3D構造をVR内で見ることができるという点でもあります。さらに、複数のユーザが同時にログインすることができることから、物理的には離れている開発者同士が、VR内で一緒にコードを眺めながらディスカッションすることも可能です。

ソフトウェア開発においては、1つのプロダクトを作り上げるにしても開発チームが世界各地に点在するということは珍しくはありません。こうした環境の中では、プロダクトのコードの全容を把握するということが難しくなることもあります。

そうであるがゆえに、開発者らがより素早く容易にコードの内容を理解することができるようになるということは、大きなメリットがあるといえるでしょう。実際、ピッチに参加していたある参加者から、新しくプロジェクトに参加したメンバーがキャッチアップするのに役立ちそうだという声もありました。

デバッグや最適化検討の一助にも

Primitiveが実現しているもう一つの機能として、コードを実行した際の処理の流れを見える化するという点もあります。たとえばマルチスレッドを実装して並行処理を行っている場合には、各スレッドの処理状況や待機状況なども映像として理解できます。

近年は大量のGPUの利用を前提とした処理なども多く見られますが、PrimitiveではまだGPUの利用状況を可視化するといったことはできない模様です。とはいえ、開発チームいわく、将来的にはこちらの対応についても検討しているとのこと。

Primitiveはシードラウンドに110万ドル(約1.2億円)の投資を受けており、次なるシリーズAラウンドにおいては450万ドル(約5億円)の調達を目標としています。

(参考)Road to VR
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