11月28日(火)、PAL東京本社プレスルームにて「K∀RT3 GARDEN」が発表されました。ECサイトのログデータに「人感」を出すために開発された「K∀RT3GARDEN」(カルテガーデン)。VRを活用することで競合他社との差別化を図り、ユーザーに寄り添うECサービスを目指します。
株式会社プレイドはPALの公式通販サイト「PAL CLOSET」内で買い物中のユーザーの動きをVR空間にリアルタイムに再現する『K∀RT3GARDEN』(カルテガーデン)を発表しました。登壇したプレイドの代表、倉橋健太氏は「『K∀RT3GARDEN』は“人感”を重視して、数値には現れない大事なものを感じ取ってもらえるように設計した」といいます。
今までの解析ツールでは来訪者の数やその動きを数字としてしかとらえることができませんでしたが、プレイドが提供しているウェブ接客プラットフォームKARTE(カルテ)はサイトへの訪問者をユーザーごとに解析し、購買履歴や閲覧履歴などあらゆる情報をリアルタイムに表形式で閲覧できるようにすることで、有益なサービスへとつなげています。
「K∀RT3GARDEN」はKARTEを発展させたもので、サイトに来ているユーザーをVRで立体にして“人感”を出すことで、事業者側がログデータを単なる数字ではなく「人」として捉えやすくしました。
「本プロダクトの開発にはパルさんに全面協力をしていただきました」と倉橋氏。以前からKARTEを導入しているというパルの年間売り上げは1200億円、ウェブサイトの今年の売り上げは100億円に届く勢いだといいます。しかし「サイトを効率化するだけでは他社と競合していくのは難しい。差別化としてECモールの使い心地を改善し、人に合わせた接客をしていきたいという中で、実験的な取り組みとして「K∀RT3 GARDEN」を導入していただいた」と倉橋氏は言います。なお「K∀RT3 GARDEN」のVRは株式会社カヤックが制作しています。
「気づき」のきっかけとしてのVR
「お客様が服を買うという行為はWebであっても実店舗であっても本質は変わらない。なのに事業者側はWebサイトにきたお客様をログデータとして見てしまいます」と秋山氏。つまりユーザーの背景や服を買いたいという動機、どういうものを購入したいと思っているのか、など重要なデータがログデータからは抜け落ちています。そこで「K∀RT3GARDEN」はログデータをアバターに置き換えることで、実店舗のショップスタッフの目線で人の流れを見て感じられるようにしたそうです。
「K∀RT3GARDEN」のデザイン
「K∀RT3GARDEN」では「実際の店舗と同じようにジャケットやパンツなどカテゴリー毎にゾーンを作りました。そしてウェブサイトに来訪されたかたが実際にどのカテゴリーのどの商品を見ているのか、動きをアバターにリアルタイムに反映しています」とのこと。なお、閲覧者すべてをアバターとして表示させるわけではなく、60人を抽出しているそうです。
「VR空間でアバター同士がコーナーを行き来しながら商品をカートに入れて、キャッシャーに行って購入し、店を出る、という動きを表現しました」と倉橋氏。ユーザーがカテゴリーの商品詳細ページに行った際には、アバターは実際にアイテムを手に取って見るというアクションを取ります。
「実際に体験してみると、お客様が何かに困っているのかが感覚として伝わってきます。こういうのは数字だけで考えると見えてきません」と倉橋氏は言います。ユーザーの動きが直感的に分かれば、事業者側が個別にアクションを取れ、結果的にユーザーが商品を購入する際の満足度に繋がることを期待できるとのことです。
ユーザーの詳細を見ることも可能です。「カートにはいっている品物の種類や品数、PAL CLOSETへの来訪歴、PAL CLOSETへの滞在時間、そしてKARTEがどういう接客を行ったかなどの詳細がこの一覧にまとめられています」と説明していく秋山氏。なおアバターには3種類があり、白は初回来店、シルバーは購入5万円以下、金色の方は購入5万円以上、という意味合いを持たせているそうです。
倉橋氏は「PAL CLOSETはお客様ひとりひとりに寄り添っている、とお客様に伝わるものを作りました」と語り、プレゼンを終えました。
質疑応答の際に株式会社パルWEB事業推進室室長の堀田覚氏は「これまでログデータでは見えなかったインサイトを想像しやすくなってくると、Web上でもっと人間的な接客ができ、可能性も広がっていくだろうと予想しています」と語りました。
「K∀RT3 GARDEN」はプレイド本社にて2018年1月末日まで体験できます。興味をお持ちの方は申し込んでみてはいかがでしょうか。