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開発 2023.08.16

NVIDIAの「Omniverse」がメジャーアップデート、OpenUSDや生成AIに対応

半導体大手のNVIDIAは、8月10日に行った「SIGGRAPH 2023」での基調講演に合わせて、3Dコラボレーションプラットフォーム「Omniverse」のメジャーアップデートを発表しました。各機能は無料配布中のオープンベータ版(個人向け)で先行利用でき、エンタープライズ向けにも順次提供される予定です。


(出所:NVIDIA)

NVIDIAの「Omniverse」とは

NVIDIAの「Omniverse」は、3Dデザインやデジタルツインのリアルタイムコラボレーションプラットフォームです。異なるツールで作成された、形式の異なる3DデータをUSD形式に変換し、複数人が同一のプロジェクトを操作できます。組織内外のサイロ化を解消し、複雑な3Dコンテンツの制作工程を簡略化できることから、コスト削減や生産性向上が図れます。


(「Omnicerse」サービスページ。出所:NVIDIA)

今回のアップデートはOpenUSDと生成AIに注目

今回のメジャーアップデートによる主要な変化は、「Omniverse Kit の機能改良」「OpenUSDに対応したAPI連携強化」の2点です。このほか、自社の生成AIアプリ「Omniverse Audio2Face」が多言語サポートに対応し、新しい人物モデル(女性)が追加されたとしています。

Omniverse Kit の機能改良

Omniverse Kit」は「Omniverse」のコア機能のひとつで、同プラットフォーム向けのネイティブアプリを開発するためのSDK(ソフトウェア開発キット)が集約されています。今回の主要なアップデートは以下の4点です。


(「空間フレームワーク」紹介ページ。出所:NVIDIA)

OpenUSDに対応したAPI連携強化

NVIDIAはファイルフォーマット「USD(Universal Scene Description)」を積極的に採用しており、2023年8月には拡張規格「OpenUSD」の国際標準化を目指す活動にも参加を表明していました。

今回のアップデートで3D制作アプリ「Omniverse USD Composer」や生成AIアプリ「Omniverse Audio2Face」がOpenUSDに対応したほか、新たに4種類のアプリが利用可能になりました。いずれも「Omniverse Cloud」向けAPIを通じて提供されます。

  • ChatUSD:USD準拠のPythonコードなどが生成できるコパイロット(質問回答GUI)。
  • RunUSD:クラウド上でOpenUSDファイルの互換性を検証できるAPI。
  • DeepSearch:セマンティック検索用の大規模言語モデル(LLM)エージェント。
  • USD-GDN Publisher:OpenUSD準拠の3Dシーンをブラウザ・モバイルにリアルタイム配信。

NVIDIAは、OpenUSD対応により、他社の生成AIツールとの相互接続を行えるようにするとしました。同社が言及した生成AIツールは「Wonder Studio AI」「Inworld AI」などで、現時点でもOpenUSD形式のデータを「Omniverse」にインポートできます。「Adobe Firefly」に対応したAPIも開発予定とのことです。


(「OpenUSD」コンセプトイメージ。出所:NVIDIA)

(参考)プレスリリース(1)プレスリリース(2)プレスリリース(3)YouTube


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