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活用事例 2017.07.20

VRでよりリアルな手の動きを実現するには

Oculus社は、2016年12月にOculus Touchを発売するとき、“ハンドプレゼンス(手の存在感)”について多くの知見を公開しました。それを工夫し生かしたゲームは今までほとんど登場しませんでした。今週リリースされるVRゲーム『Lone Echo』では、バーチャルな手の存在感が今までとは桁違いの進歩が見られます。

物理モデルを適用した手続き型ポージングシステムを開発

現実の生活において、私たちの手は周りの世界とインタラクションをするメインの手段であり、VRでそれらを”正しく”作用させるにはバーチャルボディ側と連動する仕組みが欠かせません。

Lone Echoの開発元であるゲームスタジオ「Ready at Dawn」は、ゲーム中のバーチャルハンド部分の開発に多くの時間を費やしました。その結果、手で掴むような各バーチャルオブジェクトやオブジェクト表面に対して物理モデルを適用した、手続き型ポージングシステムによって掴むときのグリップアニメーションをとてもリアルに見せられるようになりました。年初に同社が公開した動画では手続き型のグリッピング技術を少しだけ見ることができましたが、最近公開された『Echo Arena』のオープンβではより詳細に見られます。

動画を見ると、ロボットハンドは詳細まで繊細に描かれているだけでなく、手の動きも印象的です。ゲーム内の任意のオブジェクトの表面を掴むことができ、自分が無重力空間の中でものを押したり引いたり自由にできます。表面を掴むたびにあたかもそれを現実で掴むかの用に指が動くのを確認できます。

オブジェクト表面の角を掴むときの指の動きがまさにちょうどよい感じに動いています。

物を掴んだ後でも腕の位置に基づいて変化し、手のポーズも動き続けます。

腕の位置の推定も逆運動学(IK)を使ってより自然な動きを実現

VR上のアバターで、手に続いて腕を見せようと考えた場合、多くのシステムでは手と頭の位置のみで腕の位置を推定することは難しいため、あまりプレイヤーの腕を表示しようとはしません。なぜなら、腕の推定値が現実の位置とはるかに離れてしまう場合、VRへの没入感を阻害する要因になるからです。従って、多くのシステムでは腕を描かないアームレスのアバターの手が表現されています。

Lone Echoは、今までのシステムの中でも最も優れた逆運動学(IK)の技術を用いています。手順的なハンドグリップと一緒に、アバターの腕や手があなた自身の物であるかのように感じやすくなり、VRへの没入感を増しています。Lone EchoとEcho Arenaは多くのアプリケーションで見られるレーザーポインターのタッチインターフェースではなく、バーチャルハンドで直接オブジェクトをタッチする技術でゲームのインターフェースやインタラクションを作り上げました。

通常、人がなんらかのものを掴むときにどのように掴むのかについて深く考えることはせずにできていることでも、VR空間のバーチャルハンドに現実的な手を配置する方法を考えるのは驚くほど難しい問題だといえます。システムのよく細かい概念や、理論的な部分を掘り下げたい場合は、Ready at DawnのJacob Copenhaverによるプレゼンテーションが参考になります。 (参考) ‘Lone Echo’s’ Virtual Hands Are an Unexpected VR Innovation – (英語) https://www.roadtovr.com/lone-echos-virtual-hands-unassuming-vr-innovation/ MoguraVRはRoad to VRとパートナーシップを結んでいます。


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