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テック 2018.08.23

NVIDIAの新世代グラボ「GeForce RTX」とは? 情報まとめ

PCでVRデバイスを使用する際に必要となるグラフィックボード(グラボ)。HTC ViveやOculus Rift、そしてWindows Mixed RealityのUltraモードなど、VRデバイスを通した高品質な体験には欠かせない存在です。

アメリカの半導体メーカーであるNVIDIAは、グラフィックボードや、それに搭載されるGPUなどを開発・販売しています。そして2018年、同社はGPU「GeForce」シリーズの最新モデル「GeForce RTX 20」シリーズを発表しました。本記事では、このGeForce RTX 20シリーズについてご紹介します。

目次

1.GeForce RTX 20シリーズとは
2.これまでのGTXシリーズとはどう違うのか
3.リアルタイムレイトレーシングとは
4.さらにVRへの「最適化」も
5.スペック詳細
6.気になる値段と国内発売日は?

1.GeForce RTX 20シリーズとは

GeForce RTX 20シリーズは、NVIDIAによるPC向けゲーミンググラフィックボード・GeForceシリーズの次世代モデルです。2018年8月21日、ドイツで開催されたゲーム展示会「Gamescom」のプレイベントにて、GeForce RTX 2080 Ti、RTX 2018、RTX 2070の3種が発表されました。

NVIDIAはこれまでにも、ゲーミング向けグラフィックボードとして「GeForce GTX」シリーズを製造・販売してきました。VR対応の要件を満たすGTXシリーズのグラフィックボードは、大きなシェアを獲得しています。その最新モデルがGeForce RTX 20シリーズです。

2.これまでのGTXシリーズとはどう違うのか

今回発表されたGeForce RTX 20シリーズは、これまで製造・販売されてきたGTXシリーズとは異なり、次世代コアアーキテクチャ「Turing」を採用。TuringではAIによる処理に加え、VRおよび様々なゲームなどにおいて、実写並みのリアルタイムCGを実現する「リアルタイムレイトレーシング」を可能としています。

(2018年3月にアメリカ・サンフランシスコで開催されたGame Developers Coference 2018、通称GDC2018にてエピックゲームズが公開したリアルタイムレイトレーシングのデモ動画。リアルタイムレイトレーシングがどのようなものか、その一端を垣間見れる)

さらにGeForce RTX 20シリーズは、VRデバイスとPCの新しい接続規格である「VirtualLink」に対応しています。多種複数のコードやコネクタを使用することなく、単一の高帯域USB Type-Cコネクタのみで接続を可能にする、オープンな業界標準規格です。

また、Turingについては8月14日、カナダ・バンクーバーで開催されていたコンピュータグラフィックスの国際会議SIGGRAPH(シーグラフ)にて発表されています。この発表ではプロフェッショナル向けのグラフィックボード「Quadro」シリーズから、RTX 8000、RTX 6000、RTX 5000の3種が発表されました。

3.リアルタイムレイトレーシングとは

リアルタイムレイトレーシングでは、CGの空間全体を満たす光の反射や屈折、影をリアルタイムで表現します。Turing世代のGPUは初めてレイトレーシングに焦点を当てたGPUであり、これまでのGTXシリーズ以上に実写に近いCGを実現します。また、NVIDIAはレイトレーシングを行う技術をRTXと総称しています。


(レイトレーシングの有無の比較。左はレイトレーシングを行わず、右はレイトレーシングを行っている。金属球やガラス球への映り込み、光の反射、その他壁や床への照明の影響が発生する。現実に近い、より高精度でリアルな描写が可能になる)

レイトレーシングを行う場合、現行のコアアーキテクチャであるPascal世代の最高機種RTX 1080 Tiが300ミリ秒以上かかるのに対し、Turing世代のGPUはわずか45ミリ秒で処理を行えます。

リアルタイムレイトレーシングは、このレイトレーシングをリアルタイムに演算する技術です。描画には非常に高い負荷がかかりますが、NVIDIAによれば前世代のコアアーキテクチャであるPascal世代と比較して、Turingではリアルタイムレイトレーシングにおいて6倍の処理速度を誇るとのこと。現実とみまごうほどのリアルな描画が、ゲーム等でも実現することになります。今後リアルタイムレイトレーシングに対応したゲームがリリースされることで、この恩恵を存分に受けることができるでしょう。

4.さらにVRへの「最適化」も

さらに、NVIDIAは公式ブログの中で、可変レートシェーディング(Variable Rate Shading, VRS)なるシステムに触れています。NVIDIAによれば、可変レートシェーディングは「シーンの詳細な部分のシェーディング処理を増やし、詳細な部分を知覚しにくいシーンでは処理能力を落とすことで、レンダリングを最適化する」とのこと。


(2016年にOculusのR&D;チームのリーダー、マイケル・エイブラッシュが語った、フォービエイテッド・レンダリングの一例。人間が目で注目できる範囲は、実は非常に狭い)

このシステムは視線追跡(アイトラッキング)と併用することで、プレイヤーやユーザーが見ている個所を高解像度で、逆に注目していない箇所や周辺視野は低解像度で描画することで演算負担を軽減する「フォービエイテッド・レンダリング」で効果を発揮します。

5.スペック詳細

GeForce RTX 20シリーズのスペック比較は以下の通りです(ブーストクロックのカッコ内は、ファウンダーズエディションのオーバークロック時)。

RTX 2080 Ti

RTX 2080

RTX 2070

GPUアーキテクチャ

Turing

Turing

Turing

レイトレーシングパフォーマンス

10ギガレイ/s

8ギガレイ/s

8ギガレイ/s

NVIDIA CUDAコア

4352

2944

2304

ブーストクロック

1545 MHz
(1635 MHz)

1710 MHz
(1800 MHz)

1620 MHz
(1710 MHz)

フレームバッファ

11GB GDDR6

8GB GDDR6

8GB GDDR6

メモリ速度

14 Gbps

14 Gbps

14 Gbps

VR対応

対応

対応

対応

VirtualLink

対応

対応

対応

また、VRゲームプレイ時のスペックについての発表はされていませんが、ハイエンドな非VRゲームプレイ時のベンチマークが公開されています。RTX 2080はGTX 1080と比較し、4K解像度において1.2倍から1.5倍、DLSS(Deep Learning Super Sampling)を使用することで2倍近いスコアとなっています。

より詳細な情報は公式サイトにて確認できます。

6.気になる値段と国内発売日は?

GeForce RTX 20シリーズの3モデルの価格は以下の通りです。NVIDIAが直接販売する「ファウンダーエディション」は、一般販売用の通常モデルと比べて100ドル~200ドルほど高くなります。

名称・種類

価格

GeForce RTX 2080 Ti

NVIDIA直販:1199ドル(約13.2万円)
通常モデル:999ドル(約11万円)

GeForce RTX 2080

NVIDIA直販:799ドル(約8.8万円)
通常モデル:699ドル(約7.7万円)

GeForce RTX 2070

NVIDIA直販:599ドル(約6.6万円)
通常モデル:499ドル(約5.5万円)

また、発売日は2018年9月20日と発表されています。日本国内においては8月28日よりAmazonサイトにおいて予約を開始する予定。GeForce RTX 2070 については、10月に提供されるとのことです。


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