NVIDIAは、カナダ・バンクーバーで開催中のSIGGRAPH2018(シーグラフ)にて、同社が開発する次世代GPUアーキテクチャ「Turing」を発表しました。NVIDIAは「Turing」は前世代のPascalアーキテクチャと比べて6倍の描画性能を誇るとしています。
Turingアーキテクチャに対応するGPUの新モデルは、プロフェッショナル向けのQuadroシリーズから登場。RTX8000、RTX6000、RTX5000の3モデルが合わせて発表されています。1台のGPUで、フォトリアルなレベルのCGがリアルタイムで描画可能になります。
Turingで可能になるハイブリッド・レンダリング
イギリスの数学者アラン・チューチングの名を冠する「Turing」は、NVIDIAが提供する第8世代のアーキテクチャです。NVIDIAはこのTuringを「リアルタイムレイトレーシングを加速させるRTコアと、AIに対応したTensorコアを組み合わせた、2006年に発明されたCUDAに並ぶ“画期的な”ものである」と強調しています。
Turingアーキテクチャの特長である「ハイブリッド・レンダリング」では、ニューラルリンクによって、CGを使ったシネマティックレベルでのインタラクティブな体験も可能になる、としています。
NVIDIAはTuringについて、前世代であるPascal世代と比較して6倍の処理速度を誇る、いかに革新的なアーキテクチャであるかを語りました。
対応するGPUは3モデルが発表
Turing世代のGPUとしては、プロフェッショナル向けに「RTX 8000」「RTX 6000」「RTX 5000」の3モデルが発表されました。市場想定価格はRTX 8000が10,000ドル(日本円換算:約110万円)、RTX 6000が6,300ドル(約70万円)、RTX 5000が2,300ドル(約25万円)となっています。また、サーバー用にRTX 8000を4台連結した「RTX Server」も発表されました。
Quadro RTXシリーズは、Turing世代のGPUで可能になるリアルタイムレイトレーシング(Real-time Ray Tracing)を実現する世界初のGPUとなります。
リアルタイムレイトレーシングは、反射などを含めた光と影の表現やインタラクションを実現する技術です。実写と見分けがつかないようなフォトリアルな描画が、ゲームやVRなどリアルタイムのCGでも実現することになります。
またVR関連では、RTXプロフェッショナルGPUは次世代VRヘッドセット向けの新たな規格「VirtualLink」に対応しています。これまでのVRヘッドセットとPCはHDMIとUSBの2つで接続を行っていましたが、今後はUSB-Cでの接続が可能になります。ただし、2018年8月時点でVirtualLinkに対応したVRヘッドセットは存在しません。
各GPUスペック
GPU名 |
Memory |
Memory with NVLink(※) |
Ray Tracing |
CUDA Cores |
Tensor Cores |
Quadro RTX 8000 |
48GB |
96GB |
10 GigaRays/sec |
4,608 |
576 |
Quadro RTX 6000 |
24GB |
48GB |
10 GigaRays/sec |
4,608 |
576 |
Quadro RTX 5000 |
16GB |
32GB |
6 GigaRays/sec |
3,072 |
384 |
※NVLink:2台のGPUを連結する