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テック 2020.11.16

MRデバイス「NrealLight」製品版ハンズオン。1年を経て「スマートグラス」路線へ

2020年11月10日、KDDI株式会社はメガネ型MRデバイス「NrealLight」の発売を発表した。発売予定日は同年12月1日、本来であれば11月11日より展示・一般向けデモが行われる予定だが、発表当日にタッチアンドトライの機会を得たため、その模様をレポートする。

排熱問題は一歩前進か

筆者はさる2019年10月、NrealLightを開発している中国Nreal Ltd.自ら開催したイベントにてリファレンス機を体験している。当時は排熱の問題やデモコンテンツの不足などもあり、「開発者版(DK: Development Kit)のさらにプロトタイプ」といった感触だった。今回は全体を概観するのではなく、ハンズオンから1年を経てどう変わったのか見てみたい。


(こちらは2019年のリファレンスモデル。ややグラスの形状などが異なる。当時から映像の見え方は鮮明であることに変わりはなかった)

昨年最も気になった「熱」は、長時間起動しておくと温かくなるものの、少なくとも「厳しい」レベルは脱したように思う。リファレンス機は眉から額あたりに触れるパーツが熱くなりがちだったが、一般販売に向けて着実に前進していることが伺える。

今はあくまで「スマートグラス」路線

今回体験できるデモはNrealLightを装着し、映像を見ながらエアロバイクを漕げる「FeelCycle」、セガの「スペースチャンネル5」を題材に取ったARゲーム「スペースチャンネル5 AR」、NrealLightのカメラで撮影した写真の文字を翻訳してくれる「カメラ翻訳アプリ」やリアルタイム音声認識で翻訳結果を視界に表示する「オンヤク」、VR分野でも知られているVR/AR会議システム「Spatial」、そしてNreal社自身による“複数窓でAndroidアプリが使える”システム「Nebula」などが用意されていた。


(AndroidアプリをNrealLightで使えるようにする「Nebula」。ブラウザやYouTube等を最大3つまで表示できる。この写真は現在開発中のキャスト機能を使い、NrealLightのカメラ映像とNebula経由で表示したブラウザをどちらもプロジェクタで写している。なおキャスト機能はやや通信状態が悪いのか、映像には少し乱れもあった)

ざっくり言うのであれば、NrealLightの操作感・扱いやすさは1年を経て向上しており、まだ改善の余地を残しているものの、以前より「使っているときのイメージ」がずっと想像しやすいものになっている。

他方、これらのデモは2019年10月のリファレンス機向けのデモとは異なり、現実のオブジェクトを認識する機能はほぼ使われていないように思われる。当時のデモは「床にオブジェクトが置ける」機能と動画を表示できる機能の双方が提示されていたが、現在はAR/MRグラスではなく「スマートグラス」的な用法にかなり偏っている。あくまで現在は、シンプルな拡張ディスプレイとしての道を選んでいるわけだ。

今回のデモで体験できるアプリも増えたとはいえ、まだ実験的な要素や手探りな感もある。一般販売がスタートするものの、開発者向けデバイスのバージョンアップ等もなされ、ソフトウェアが増えていくことを考えると、「NrealLight DK2」的な位置づけのデバイスとも言えるかもしれない。今後のさらなるブラッシュアップとソフトの充実に期待がかかる。


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