工業デザインスタジオのNonobjectは、VRヘッドセットやモーションコントローラーの様々なプロトタイプデザインを制作しています。同社は丸一年の期間をかけ、新たなVRコントローラーを開発しました。
自分の手のように自然な使用感
完成したデザインは、「Air Hand」と呼ばれています。これは、同社が進めるVRデバイスのコンセプト作りの最終章を飾るものです。同社はこれまでにも、特徴的なデザインのVRヘッドセットや、VRペンといった製品のプロトタイプを開発してきました。
Air Handの外見は、ValveやOculusのコントローラーと似ています。しかしNonobjectは、既存の扱いにくいデバイスと異なり、Air Handは自分の手のように自然に使える、1日に4時間使い続けることも可能だ、と主張しています。
デザインだけでなく使いやすさにこだわり
よほどのVRマニアでない限り、この主張はナンセンスに聞こえるかもしれません。モーションコントローラーは、ただ赤外線センサーでトラッキングされているものに過ぎないと。しかしNonobjectのエルゴノミクスへのこだわりを差し引いたとしても、このコントローラーはとても魅力的な工業デザイン製品と言えます。デモレベルのデザインではなく、洗練された商業製品と言って差し支えないでしょう。
この製品へのNonobjectのこだわりは、コントローラーの手の周りの部分に伸縮性を加えた点にあります。コントローラー下部の掴む部分を握りしめると、Air Handにかかる握力は分散され、まるで重みがないように感じます。
さらに、コントローラーを装着したまま、手を開いて動かすことも可能です。例えばVRの中で野球のピッチャーがするように振りかぶってボールを投げたとしても、一緒にコントローラーを投げ出すようなことはなくなります。
今後各社のコントローラーへ影響か
ここで重要なのは、VRデザインそのものが、技術の可能性を広げていくわけではないということです。Nonobject設立者のBranko Lukic氏は、「このコントローラーは、(将来登場する)iPhone 11のイメージをウェブ検索することとはわけが違います」と話しています。「現に、実現可能な技術に基づいた製品なのです」
NonobjectはAir Handについて、まだ量産レベルの試作品を出していません。また、オープンソース化も現時点で行っていません。しかし今後、ValveやOculusといった企業がAir Handの思想を取り入れて行く可能性はあります。Nonobject はVRの可能性を確信しており、波はありながらも成長するとしています。
(参考)Fast Company