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業界動向 2022.12.15

VRとメタバースで職場はどう変わる?Meta、2023年の予測発表

フェイスブックが社名をMetaに変更してから約1年。年間1兆円ペースでXR/メタバース事業に投資を行い、VRヘッドセット「Meta Quest シリーズ」やメタバースサービス「Horizon Worlds」の開発を積極的に推し進めてきました。

一方で、11月には全社員の13%にあたる1万1,000人をレイオフすると決定。XRデバイス開発や、メタバース構築に取り組むReality Labs部門もレイオフ対象に含まれることがわかりました。

今後の動向が気になるなか、Metaは2023年の4つの予測と題し、未来の仕事におけるメタバースやVRの役割について見立てを発表しました。

66%がVRの有用性を認識

Metaは、メタバースを取り巻く様々な感情、そしてそれが仕事の未来にどのような影響を与えうるか理解を深めることを目的として、2,000人の従業員と400人のビジネスリーダーを対象とした調査を実施。

66%がバーチャルリアリティ技術は、オフィスから生まれる一体感を再現するのに役立つと考えていることがわかりました。

この結果を踏まえ同社は、MetaWorksの副社長Ryan Cairns氏、ピープルエクスペリエンス担当副社長であるBrynn Harrington氏、ビジネス開発担当副社長Ash Jhaveri氏、Meta Reality Labsの営業担当副社長Christine Trodella氏らの洞察をもとに、4 つの予測を提示しました。

メタバースでオフィスにいるときの一体感を再現する

Twitter社のように社員をオフィスに戻す流れが続くなか、専門家は全労働者の約3分の1がリモートワークを続けると推定しています。

多くの企業は、従業員が効果的に働けるようハイブリッドワークを採用していますが、Metaの調査によると、ビデオ会議によって会議での存在感が高まったと回答した従業員はわずか19%、ビデオ会議によって同僚とのコラボレーションが高まったと考える社員はわずか15%とのこと。

一方で、先述のとおり調査対象者の66%が、メタバースはオフィスにいるときの一体感を再現するのに役立つと考えていることが明らかになっています。

Brynn Harrington氏は、企業は分散したチームをサポートし、仮想環境での文化やつながりを構築する没入型体験を考える必要があるとし、「Metaは、メタバース向けに2Dおよび3Dで動作する方法を構築しています。モバイルやデスクトップからVRまで、あらゆるデバイス間で相互運用でき、現場や外出先での作業など、さまざまなユーザーの状況に最適化しています」と述べています。

企業はVRやAR技術への大規模な投資を開始する

Ryan Cairns氏は、「ハイブリッドワークが企業の計画にしっかりと組み込まれたことで、これまでノートパソコンや固定電話に割いていたハードウェアの予算が、VRデバイスに移行されるだろう」と予想。

コンサルティング会社フロスト&サリバンのデジタルコンテンツサービス部門シニアプログラムディレクターであるAlaa Saayed氏によると、現在から2028年の間に、XR技術の市場は年平均成長率63パーセントを記録するとのこと。

また同氏は、「とくに2023年には、より多くの企業が、仕事の効率を高め、コミュニケーションとコラボレーションを充実させるために、XR技術の概念実証から本格的な展開に移行すると予想されます」とも言及しています。

これを踏まえてCairns氏は、「メタバースの黎明期である現在でも、VRから得られる臨場感はビデオチャットよりも優れており、今後数年でさらに向上していくでしょう」と話し、VRによってビデオ疲労を軽減するだけでなく、VRでのコラボレーションをより生産的で自然なものにする機能がさらに増えるとの見通しを示しています。

企業間連携で没入型体験を提供する

Metaは、同社のプラットフォームとVRヘッドセット、パートナーであるMicrosoftのサービス、Accentureの専門知識を組み合わせることで、ソフトウェアを大規模に実装して企業に提供し、企業が仕事にVRの力を活用できるようにするとの方針を示しました。

Ash Jhaveri氏は、「来年には、より多くの企業がパートナーとなって、今あるどの技術よりもチームの業務がうまくいくようなVRのソリューションを提供するようになるでしょう。どの企業にも、5つ、10つとは言わないまでも、少なくとも1つは、実際に3Dにしたらもっと良くなるものがあることを保証します」と述べています。

メタバースに対応できない企業は、競合他社に遅れをとる

Metaは、レポート内でVRやMRなどのテクノロジをロードマップに載せていない企業は、アーリーアダプターに比べて長期的に不利な立場に置かれることになるとの見通しを示しています。

Christine Trodella氏は、「企業は、従業員をサポートし、新しい能力を実現する没入型体験を作り出す能力で競争することになる」と予想し、ビデオでは実現できない領域にもVRやMRを活用することで、2023年は企業がその投資から真の可能性を実現し始める年になるであろう、とコメントしています。

(参考)Meta


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