順天堂大学と日本IBMが、メタバース面会アプリ「Medical Meetup」をiOS向けにリリースします。音声通話だけでは得られない「よりぬくもりのある面会」を支援する狙いです。8月1日からは、小児患者向けの臨床研究も始めます。
順天堂大学と日本アイ・ビー・エム株式会社は、入院患者とメタバースで面会できるアプリ「Medical Meetup」を共同開発し、7月31日から一般配信を開始します。8月1日からは順天堂大学医学部附属順天堂医院で、小児患者と家族を対象とした運用・臨床研究も行います。講演会や遠隔診療、コミュニティー広場などへの応用も検討するとのことです。
音声通話だけで得られない「ぬくもり」をメタバース面会で
日本IBMによれば、入院患者にとって親しい人との面会は、ストレス軽減や癒やし、気力回復に重要です。ところが現実には、訪問制限や時間の制約、お互いの遠慮によって、気軽に面会しづらいこともあります。電話・オンライン通話だけでは、対面と比べて「ぬくもり」に欠けるところがありました。
そこで両者は、リゾート施設などの非日常空間でリラックスした面会ができ、擬似的な「ふれあい」「おでかけ」を楽しめるスマホアプリを開発。あえて顔が見えないアバターを通じて、「ぬくもり」を感じる面会の手段を提供します。
(色彩・光沢が鮮やかな画面デザイン。気球に乗ったり、動物とふれあうこともできる)
患者の心身に配慮したUIデザイン、先行研究を踏まえたか
VR医療に積極挑戦してきた順天堂大学
順天堂大学はこれまでにも、「うららかVR」「COVID-19(新型コロナウイルス感染症)診療病棟」などの医療用VRや医療教育コンテンツを開発・提供してきました。
また、順天堂大学と日本IBMは2022年4月から、「順天堂バーチャルホスピタル」を起点にした新サービスの開発・提供を目指す共同研究を行っています。このサービスは7月13日に選択できるアバターが2種類増えるなど、機能改善を続けています。
(出所:順天堂大学。2022年に開発された「順天堂バーチャルホスピタル」)
患者の心身に配慮したUIデザイン
「Medical Meetup」のUIデザインは、これらの研究蓄積を踏まえたものと見られます。ユーザーは適度にフォトリアルなアバターを選択し、ワールド内を一緒に歩き回れます。音声通話やテキストチャットのほか、ハイタッチなどの動作を用いたコミュニケーションがとれます。
(フリック操作による移動、視点切替や音声・ボイス入力など、一般向けメタバースの基本機能を備える)
「アバターを操作するコントローラーの位置を自身でカスタマイズできる機能」があるなど、肉体の動作に制限がある患者にとっての使いやすさを考慮したとのことです。なお、医学的アドバイスや診断、治療、予防といった、いわゆる「オンライン診療」は目的としていません。
アプリの基本情報
名称 | Medical Meetup |
対応OS | iOS、iPad OS (11.0以降) |
対応デバイス | iPhone 8以降、iPad第7世代以降対応 |
配信開始日(予定) | 2023年7月31日 |
価格 | 無料 |
(参考)プレスリリース
(※2023/07/28/18:45……リリース日が「本日」となっていた箇所を「7月31日」に修正)