台湾HTCは、2019年後半の中国におけるVR市場のレポート「2019 2H China VR Market Survey Results」を発行しました。アンケート調査を中心に、ユーザーの職業や年齢といったデータ、行動スタイル、将来への期待など、幅広い情報をまとめています。
(※以下、本記事中の図表はすべて当該レポートからの引用です)
このレポートは3章で構成され、それぞれ下記の内容を扱っています。
1章:中国のVRユーザーの素顔
2章:VRユーザーの秘密
3章:将来のVR市場への知見
1章:中国のVRユーザーの素顔
VRユーザーの職業別内訳です。VR業界関係者やエンジニアが多いものの、様々な職業にまんべんなく存在することが分かります。ただし性別を見ると「9割が男性」とのこと。
年代別の分布状況です。21歳~35歳の層が中心で、68%と過半数を占めています。
地域別の分布状況です。中国全土でユーザーが見られるものの、深センや北京、上海といった「Tier1都市(一級都市)」を中心に盛り上がっています。
VRユーザーが、VRデバイスの他に所有するアイテムです。ゲーミングPCは言うまでもなく、Bluetoothイヤホンは6割以上が所有。スマートウォッチやウェアラブルデバイス等を高い割合で所有しています。
2章:VRユーザーの秘密
では、VRのプレイ状況はどうでしょうか。1日の中でVR体験するユーザーが多い時間帯は、PC向けVRで15~18時、一体型VRヘッドセットで21~24時です。PCに接続不要で手軽に使える一体型の方が、ピーク時間が遅くなっています。
プレイ時間の曜日別分布状況を見ると、土曜、日曜の週末に集中しており、約3割を占めています。
VR体験1回あたりの標準的なプレイ時間は、73%のユーザーが30分以上という結果です。なお48%のユーザーは、毎週プレイすると回答しました。
PC向けVR、一体型それぞれのユーザーの、好きなコンテンツのジャンルです。PC向けではアクションやアドベンチャーといった動きを伴うものが上位に来ています。一方の一体型VRヘッドセットでは、360度動画がトップとなりました。
具体的なタイトルでは、PC向けが1位「アリゾナ・サンシャイン」、2位「Angry Birds VR: Isle of Pigs」。一体型(6DoFのデバイス)が1位「Mercenary 6DoF + Edition」、2位「Fancy Skiing: Speed」、一体型(3DoFのデバイス)が1位「Space Dodge 2」、2位「Pirate Shooter」でした。
3章:将来のVR市場への知見
最後に、将来のマーケットを展望するデータを紹介します。
「よりハイクオリティなVRデバイスのために、いくらなら支払うか?」という質問への回答を、2017年からの推移で見ます。4,000元(約63,000円)以上との回答が、2017年7月の17%から62%へと、年々増大していることが分かります。
今後12ヶ月間(2020年中)に新たなVRデバイスの購入や買替を予定しているかの調査です。52%と半数以上のユーザーが、予定していると回答しました。
VRの用途を、2018年10月からの推移で表したものです。動画鑑賞、エクササイズ、学習といった分野が、堅調に伸びています。
VRデバイス購入の動機づけとなる要素です。魅力的なコンテンツ、高品質なムービーが上位にランクイン。加えて5G通信によるクラウドVRを挙げるユーザーも、3割近い点が注目されます。
B2Bユーザーに、VRを利用する分野を調査したものです。教育・研修が67%と首位に立ちました。映画、アーケードゲームがこれに続き、不動産や観光等、幅広い分野で採用が進んでいることもうかがえます。
B2Bユーザーへ、ビジネス活用に有用な機能を調査したものです。マルチユーザー対応を挙げた回答者が約7割と、他を圧倒しトップになりました。次いで半数近い回答者が、広範囲のトラッキング、MRへの対応を挙げています。
結びに、VR製品への不満点の調査です。PC向けVRユーザーでは、ケーブルがあることでの動きづらさが54%でトップ、僅差で精細度の低さが続きました。
一体型VRヘッドセットユーザーでは、高品質なコンテンツの不足が52%とトップです。PC向け同様、精細度の低さが次点となっています。