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開発 2023.08.10

MRデバイス「Magic Leap 2」に新機能追加、ARクラウド機能や純正Webブラウザなど

MRデバイス「Magic Leap 2」に複数の新機能が追加されました。Magic Leapによるブログ記事では、直近数ヶ月間で行われたアップデートがまとめて紹介されています。


(出所:Magic Leap)

新機能として「ARクラウド」や「Webブラウザ」が追加されたほか、ハンドトラッキングやディミング(調光)、などの機能も改善。VR/ARの標準仕様「OpenXR」への対応やMagic Leap 2へのアプリ移植コストの削減、各種センサーで取得したデータが利用可能になりました。

同社の発表をもとに、直近数ヶ月のアップデートについて要約します。

ARコンテンツ共有とブラウザ閲覧に対応

ARコンテンツを複数デバイスで共有できる「AR Cloud」

「Magic Leap 2」で取得したデータから構築された3Dマップを、他のデバイスと共有するための「AR Cloud」が追加されました。これにより、同一の空間において、複数のデバイス間でのコンテンツ共有が可能になります。デバイス管理者は、「AR Cloud」コンソール画面で共有スペースの作成、スキャン管理、デプロイ管理、各種デバイスの監視などが行えます。

「AR Cloud」を導入するには、専用ライセンス(Developer Pro EditionまたはEnterprise Edition)を取得し、サーバー側のKubernetesコンテナに専用コンポーネントを追加する必要があります。詳しい導入手順は公開ドキュメントで確認できます。

「Magic Leap 2」純正のWebブラウザ

同社が自社開発したWebブラウザ(β版)が導入されました。専用アプリを「Magic Leap 2」にダウンロードすると、Webアプリケーションの利用や、WebXRコンテンツの閲覧が可能です。開発者はブラウザの閲覧履歴やCookie、JavaScriptサポートなどの設定管理も行えます。ブラウザの解像度は1065×616pxです。詳しい使い方は解説ページで確認できます。

「見たまま」の画面共有を、よりスムーズな操作で

新ジェスチャー追加を含む、ハンドトラッキングの改善

画面操作のための新しいジェスチャー「リストタップ」が導入されました。人差し指で反対の手首をタップすると、ホームメニューがすぐに表示されます。一部のアプリでは、コントローラーなしで直接コンテンツに触れられる「つつく(poking)」インタラクションも限定追加されています。

また、よりスムーズな操作が行えるよう、ハンドキーポイント(手指の部位検出に用いる特徴点)の挙動を安定させたほか、コントローラー操作中にハンドトラッキングが自動で無効化されるようになりました。仮想キーボードその他の基本機能が改良され、レイの角度が頭部の動きに影響されにくくなるなど、操作対象も選択しやすくなりました。

自動調光機能の追加で、過酷環境でも使いやすく

独自開発され、「Magic Leap 2」の製品特徴でもある動的調光機能(Dynamic Dimming)が改良されました。周囲の明るさに応じて自動で光量が調整されます。建設現場や外科手術室など、過酷な照明環境でも各種のコンテンツが見やすくなります。詳細は機能解説開発者ポータルで確認できます。

キャプチャの品質向上で「見たまま」の画面共有

「Mixed Reality Capture」機能を使えば、開発者/ユーザーはデバイス装着中に2D写真や動画を撮影し、現実世界のビューに重畳されたデジタルコンテンツを表示できます。Android Debug Bridge(adb)Magic Leap HubCaptureアプリなどを通じて利用できます。

今回のアップデートでは、この機能に露光条件や色合いなどのカメラ制御機能が追加されました。また、Wi-Fi経由のディスプレイ伝送技術「Miracast」動作が安定し、テレビなど他の画面でも、Magic Leap 2で「見たまま」のコンテンツを共有できます。プレゼンやデモ、3Dモデル/CADファイルなどを関係者と共有することが想定されています。

開発・移植コストを下げ、センサーデータを取得可能に

既存アプリを移植しやすく、技術標準にも対応

既存のMR/ARアプリの移植コストを下げるために、最新のアップデート版「Magic Leap MRTK 2.8パッケージ」で、以下を含む改良が行われました。

  • MRTKの実装例を改善
  • 利き手値(handedness values)の開放
  • Microsoft AirTapジェスチャーに対応
  • 複数アプリ用にVoice intentコマンドを開放

これらによって、Unity環境で少しの調整を加えるだけで、MRTK(Mixed Reality Toolkit)ベースのアプリを「Magic Leap 2」に移植しやすくなりました。詳しい手順は作業ガイドで確認できます。

また、「Magic Leap」向けアプリはAndroid Open Source Project(AOSP)に対応していましたが、VR/AR関連の技術標準であるOpenXRにも正式対応しました。

センサーデータをAPI経由で取得可能に

「Magic Leap 2」で取得したセンサーデータに、API経由でアクセスできるようになりました。開発者ポータルに関連する2種類のAPIドキュメント(C APIUnity API)が公表されています。

開発者がアクセスできるのは、RGBカメラ、環境カメラ、深度センサー、視線カメラ、IMU(慣性計測装置)、地磁気センサー、環境光センサー、高度計、マイクなどのデータです。データ取得にはユーザーの本人同意が必要です。デバイスのLED照明が点灯することで、ユーザーの周囲にもデータ取得が通知されます。

(参考)Magic Leap


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