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投資 2023.08.08

ゲーム向け対話AIのInworld AIが追加調達、企業価値は5億ドル以上に

ゲーム向け対話AI開発のTheai(通称:Inworld AI)がLightspeed Venture Partnersなどから約5,000万ドル(約71億円)を追加調達しました。2022年8月までに3ラウンドで約7,000万ドルを調達していたことも判明しており、企業価値は5億ドル以上にのぼります。


(出所:inworld。公式サイト)

2021年7月に創業したInworld AIは、大規模言語モデル(LLM)を応用したゲームキャラクターの対話生成エンジンを開発するスタートアップ企業です。NPC(Non-Playable Charactor: 無操作キャラクター)に複数の対話パターン(声やセリフ、身ぶりなど)をノーコードで実装できる「Inworld Studio」などを提供しています。

Inworld Studio」を使うと、ユーザーからの質問に自律的でスムーズな回答を行ってくれるNPCを制作できます。キャラクターの基本設定(呼称、役割、経歴、性格・感情などのパラメーター)を指定するだけで、膨大なスクリプトや学習データを用意する必要がありません。これまでに8thwall「Niantic owl」やウォルト・ディズニー「Disney Droid Maker」、自社開発した「Origins」などで採用されたほか、「Unity AI Hub」を通じて「AI NPC Engine」が無料配布されています。


(出所:Unscripted AI NPCs in Detective RPG – Inworld Origins Trailer)

調達資金はオープンソース版や研究開発に

Google出身の創業者は、音声アシスタントや対話AIなどのサービス開発でも知られ、同社の技術・サービスはエンタープライズ向けにも多用途で導入できると期待されています。過去3ラウンドと合わせて累計1億2,000万ドル(約140億円)の調達に成功しており、今回の資金調達によって、その企業価値は5億ドル(約710億円)に達しました。

Forbesの報道によれば、今回の出資者にはLightspeed Venture Partnersのほか、「スタンフォード大学、サムスン・ネクスト、マイクロソフトのM12ファンド、LGテクノロジー・ベンチャーズ、エリック・シュミットが共同設立したファースト・スパーク・ベンチャーズといった新規および既存の戦略的投資家からの追加投資も含まれる」とのことです。

調達資金の使途について、同社は「研究開発の加速、優秀な人材の採用、インフラへの投資、キャラクター・エンジンのオープンソース版の立ち上げ」に充てるとしています。CTO兼共同設立者のマイケル・エルモレンコ氏は、「オープンソースの開発者コミュニティと協力して、ゲーム業界全体を向上させるジェネレーティブAIのイノベーションを推進します」とコメントしています。

(参考)プレスリリースForbes


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