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トレーニング・研修 2018.10.10

道路建設の世界的大手Colas、安全教育訓練にVR導入


(※本記事は、2018年8月20日にHTC社公式ブログに掲載されたVincent Rendoni氏の記事を翻訳したものです)

フランスのColasグループは――インフラ企業にはありがちなことですが――あまり一般家庭にとって知名度の高い会社ではありません。実際は5つの大陸に55,000人の従業員を擁し、年間平均80,000件の道路建設・保守プロジェクトに携わる、世界中に事業を展開する大企業です。2017年の連結収益は117億ユーロ(約1.5兆円)。そのうち48%は国外市場から来ています。

インフラ企業の世界的大手として、Colasは資源回収やリサイクル、カーボンフットプリントの削減、建設事業による周辺環境や地元社会への影響の低減など、業界におけるあらゆる取り組みをリードしています。

Colasが何より重視するのは安全対策で、この分野でもやはり最先端をいっています。そのために予算の50%以上を割いているほどです。人を資本とする企業には従業員の安全に配慮する義務があるという考えから、安全監査、現場安全講習、専門的な事故防止研修、そして応急処置訓練などに相当な時間と投資を行っており、全社従業員の3分の1以上が何らかの研修を受けています。

「従業員が業務をこなす中で怪我を負うことを容認するわけにはいきません。弊社は事故ゼロを目標に掲げ、それを達成するために幅広い手段を使います。安全訓練もその一つです。安全対策を習慣レベルで人々の意識に浸透させていければと考えています」Colasで労働災害防止・衛生・安全担当ディレクターを務めるPhilippe Simarik氏はそう語ります。工事現場での負傷事故は頻度も深刻度も着実に減ってはいましたが、Colasはあくまで事故ゼロの達成を目指しました。

同社は二段構えのアプローチをとりました。一つは新人教育の強化。社内調査の結果、過去数年間にColasで発生し時間の損失を招いた事故のうち、約60%に作業経験2年未満の人間が関わっていることが分かったからです。もう一つはVRを用いた安全訓練の導入。このためにHTC VIVEのプロフェッショナル品質のVRシステムと、Immersive Factoryのアクティブラーニング訓練プログラムを採用しました。

「VR訓練コースの開発を依頼するにあたって、4社と面談しました」とSimarik氏は語ります。「Immersive Factoryを選んだのは、グラフィック品質や体験してみての感触が優れていたというのもありますし、純粋にやるのが楽しいと思えたからです」 ColasとImmersive Factoryは、工事現場での衝突災害に関する訓練モジュールも共同で費用負担および開発を行うことになりました。

Immersive FactoryはColasの協力で、フランスのナントにある実際の現場をモデルにしたバーチャル建設現場を作りあげました。また、事故防止担当者、工事作業員、地域ディレクターからの聞き取り調査をもとにVR訓練シナリオも作成しました。完成後、Colasはさっそくバーチャル建設現場を使ったトレーニングコースを試してみました。

それは安全トレーニングの手段として革新的というだけでなく、楽しく内容が身につくものになっていました。デジタルネイティブで工事現場に不慣れな新人作業員にも、今までの安全教育に飽き飽きしていたベテラン現場監督にも好評でした。このプログラムは2018年初めに完成し、ColasのCentre-Ouest支社で新入社員の安全研修に組み込まれました。

「バーチャルリアリティの中でなら、危険な状況を体験しても危害は受けませんし、教訓はしっかり記憶に残ります」とSimarik氏は言います。「社内ではあらゆるレベルで圧倒的に好評でした。ほとんどの人が、VRトレーニングコースを体験した後『これからは~について気を付けようと思う』などと言ってくれるんです。これはトレーニングの意図がしっかりと伝わっているしるしだといえます」

Colasはこのバーチャル作業現場とトレーニングソフトウェアに共同で出資開発した立場ではありますが、Immersive Factoryを通じて他のインフラ企業も同じトレーニングを受けられるようにしたいと望んでいます。

「こと安全については、良い慣行は共有されるべきですから」とSimarik氏は語りました。
このソフトウェアはさまざまなVRシステムに対応していますが、Immersive Factoryの共同設立者Olivier Pierre氏は特にVIVE Proを推奨しています。

「弊社がColasにVRヘッドセットとしてVIVE Proの採用を薦めたのは、快適性、エルゴノミクス、そしてプロ水準の解像度のためです。デバイスの信頼性はもちろん、イノベーションと顧客の期待に応えるクオリティという点でも、HTC VIVEの開発陣には弊社の姿勢に通じるものを感じます」


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