アメリカに本拠地を置く石油大手シェブロンは、マイクロソフトのMRデバイスHoloLensの導入を進めています。同社はHoloLensをリモートアシスタントに使用することで、出張旅費の削減や業務効率向上に一定の成果が出ていることを明らかにしています。
HoloLensを通じて遠隔地と共同作業
石油関連企業シェブロンが特に活用しているのは、HoloLens向けのアプリ「Microsoft Remote Assist」です。このアプリでは、ユーザーは離れた場所にいる相手と、HoloLensを通じてハンズフリーで会話し、自分の見ている状況をシェアしたり、その場にマーキングやコメントを書き込むことができます。
マイクロソフトは公式ブログの中で、「シェブロンはワールドワイドでのHoloLens導入により、現実に定量的な結果を出しました」と紹介。同時に「Remote Assist」を同社の企業向け統合業務ソフト「Dynamics 365」に加えることを発表しました。
出張旅費削減や業務効率向上へ
具体的に、シェブロンはどのようにHoloLensとそのアプリを活用しているのでしょうか。
同社は世界中に従業員を抱えていますが、「Remote Assist」を使えば離れていても協力して業務に当たる事が可能です。この結果、出張旅費の削減や業務リスクの低下、業務効率の向上といった効果が現れています。例えば検査員は、米ヒューストンのオフィスにいながらシンガポールのプラントの月次検査を行うことが可能です。
マイクロソフトのビジネスアプリケーション・産業部門代表のAlysa Taylor氏は、「多くの従業員は、知識や技能に紐付いた情報を必要としています」と説明します。そして、「2D画面上の情報だけでなく、空間的に奥行きのある情報が、適切な時と場所で必要なのです。(中略)MRはまさに、これを実現するために最適なの技術です」と話しています。
このような企業向けのHoloLens活用事例により、MR/ARデバイスのビジネス利用がより一層アピールされ、普及することも期待されます。
HoloLensは1台30万円超と導入にはコストがかかるため、一般に広がるためにはハードルがあります。しかし最終的に業務効率改善へのインパクトを考えると、そのコストに十分見合う効果が期待できる例も現れ始めています。
(参考)Next Reality