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テック 2017.09.20

子育てVRエンタテイメントは社会への提案ができるのか!? ”Real Baby – Real Family”【CEDEC2017】

>ゲームなどのデジタルコンテンツの開発者向けイベント「CEDEC2017」のインタラクティブセッションブースにて、神奈川工科大学の望月宥冶さんらによる、家族愛をテーマにした子育てVRエンタテイメント ”Real Baby – Real Family”が出展されました。

本コンテンツは、赤ちゃん人形を抱っこして、ミルクを飲ませたりげっぷをさせ、寝かせるという流れです。ヘッドマウントディスプレイ(HMD)を被った後、VR世界で赤ちゃんの世話をする前に「結婚しているか」「赤ちゃんが欲しいか」などの簡単なアンケートがあり、その後に体験が開始。カメラで撮影された体験者の顔映像に基づいて生成された顔をした赤ちゃんは、こちらの動作にあわせて泣いたり喜んだり。

赤ちゃんの位置と哺乳瓶はViveコントローラーでセンシング。赤ちゃんの頭にViveコントローラーが刺さっているのは外から見るとシュールですが、HMDの中に映る赤ちゃんは表情豊かで、また泣き声やゲップに合わせて赤ちゃんも振動……もとい、体を動かします。体験後でもう一度聞かれるアンケートでは、「赤ちゃんが欲しい」と回答した筆者でした。


今回は、望月さんと、同じく神奈川工科大学の白井暁彦准教授に、本コンテンツの開発の経緯や、ユーザーの反応、そして今後の展開について伺いました。

開発の経緯

本コンテンツは、一回体験してそのときだけ楽しいというものではなく、社会問題をテーマにするようなものを研究をしたいということで、開発されたそうです。
望月さんは、コンテンツを題材にコミュニケーションが取れるものとして、(Im)possible Baby(同性同士で子供を作る可能性を探るプロジェクト)といったものに刺激を受け、VRで愛が伝えられるものがつくれないかということで、本コンテンツの開発に取り組むことになりました。

本コンテンツはIVRC2016(International collegiate Virtual Reality Contest)に出展、そこでLaval Virtual Awardを受賞しています。当時はカップルの顔を合成して赤ちゃんをあやす体験をする「おふたりさま」モードであったそうですが、展示場では体験希望者がカップルであるとは限らないということで、一人で体験できる現在の形になったそうです。

ユーザーの反応と今後の展開

本コンテンツは、国内外のVRイベントだけでなく、VRによる恋愛・結婚・育児に関する実証実験やアニメイベントにも出展しています。そして先に書いたように体験の前後で簡単なアンケートをしていて、そこでさまざまな体験者のデータを取得しているということです。
結婚関連のイベントに出展したときのデータによると、本コンテンツ体験前では、交際したてのカップルよりも交際してから3年程度のカップルの方が結婚に否定的という驚きのデータが!しかし、コンテンツ体験前に「赤ちゃんが欲しいですか」という回答に「いいえ」と回答してた人も、体験後にはみな「はい」と回答するようになったそうです。

そのようなデータを踏まえて、今後のコンテンツの使い方も考えられています。家族の体験をさせるだけでなく、育メン度を見せつける機会であったり、働き方改革を考える題材にしたり、あるいは出産前の夫婦に対する教育へ活用したりと、VRイベントでの展示だけでなく、社会にインパクトを与えていくものにしていきたいということでした。

なお本コンテンツは、9月21日から24日に開催される、東京ゲームショウ2017の「HALL9 CEDEC2017 インタラクティブセッション 特別展示コーナー」(インディーゲームコーナーの隣)にて展示されるとのことです。未体験の方はぜひ!

関連リンク
CEDEC2017 公式ページ
家族愛をテーマにした子育てVRエンタテイメント ”Real Baby – Real Family”
http://cedec.cesa.or.jp/2017/session/AC/s58e0597c6eab2/


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