イタリアの研究者グループは、がん治療におけるVR利用の有効性について論文を発表しました。治療中にVRを体験した乳がん患者には、不安や抑うつ、疲労感が軽減される効果が見られたということです。
化学療法のストレス緩和?
今回研究者チームは、94名の乳がん患者を対象に実験を行いました。患者を3つのグループに分け、化学療法の前後で、ストレスや気分を分析するという内容です。
まず30名は、治療中にVRヘッドセットを装着。バーチャル空間で、森林を散歩したり、ヨガや水泳等を体験します。次の30名は音楽療法を体験し、残りの34名は通常の化学療法のみのコントロールグループです。
この実験の結果、治療中に何らか他の体験をした患者では、明確に不安のレベルが低減しました。一方化学療法のみのグループでは、不安感の増大や気分の低下が見られたということです。
VRはさらに高い効果
実験結果を受けて、研究者チームは「バーチャルリアリティ、音楽療法共に、乳がんの化学療法における患者の不安緩和に有効である」と結論づけています。さらに論文は「バーチャルリアリティは音楽療法に比較し、不安感、抑うつ、疲労感の緩和の効果がより高そうである」と、VRの効果を評価しています。
治療中のVR利用による不安や痛みの緩和については、下記の記事でも取り上げています。
(参考)Health Imaging