12月11日、ANAホールディングスのグループ会社であるANA NEOはバーチャル旅行プラットフォーム「ANA GranWhale」のサービスを開始しました。「ANA GranWhale」を端的にまとめると、「スマホ向けメタバース」と呼ばれるタイプのサービス。自分のアバターを三人称視点で操作しながら、バーチャル空間内を移動し、様々なイベント・コンテンツを楽しめます。
メインは「バーチャル旅行体験」。名産品等が自宅に届くEC機能も
「ANA GranWhale」は、主に3つの要素で構成されています。現時点でのメインコンテンツはバーチャル旅行体験の「V-TRIP」と、EC機能「Skyモール」。現時点では北海道の23カ所、京都の19カ所など国内61カ所にくわえ海外3カ所、合計64カ所の旅行先が用意されており、それぞれの場所で360度カメラ写真を元に作られたリアルな景観を楽しめます。
なお、ツアーの参加費は「ANA GranWhale」内のミッションをクリアすることで取得できるホエールコインで支払います。ユーザーのアプリ内滞在時間を伸ばすべく、ゲーム要素を取り込んでいることがわかります。
各旅行先には専門のV-ガイドと呼ばれるツアーガイドがおり、テキストで観光地案内や現地のトリビアなどを教えてくれる仕組み。現実で観光地に行ったときと同様に、記念写真を撮ることも可能です。
ショッピング空間となる「Skyモール」でのバーチャル購入体験も。Skyモールには伊藤園やSHIPS、JOURNAL STANDARD、ミズノ、ムラサキスポーツ、ラコステといった企業ブースが14カ所あり、リアルアイテム(自宅に届きます)や、ANA GranWhale内で使えるデジタルアイテムの販売が行われています。
テキスト/ボイスチャットによるコミュニケーション機能も
「ANA GranWhale」は同時に20人まで参加可能です。他のアバター(ユーザー)とグループを組むと、同じ旅行先に行くことが可能です。この時、グループリーダーが、全員分の参加費を「ホエールコイン」で支払うことになるのがポイント。前述の通り、「ホエールコイン」はANA GranWhale内で入手できるため、普段ANA GranWhaleで様々なミッションをクリアしている人がリーダーとなり、不慣れなユーザーを案内できる仕組みといえます。
コミュニケーション機能はテキストチャットとボイスチャットの2つ。テキストチャットはグループメンバーおよびフレンド間で使用可能。ボイスチャットはグループメンバーとのみ話すことができます。
ANAマイレージクラブのマイルが貯まる、使えるシステム
「ANA GranWhale」内を移動していると、あちこちに青いコインが置かれています。これはアプリ内通貨「グランチップ」。ANA GranWhaleで使えるデジタルアイテムの購入、またはANAマイレージクラブのマイルが貯まるガチャにチャレンジできます。
ANAマイレージクラブのマイルを、ANA GranWhale内で使えるVマイルに交換することもできます。ANAだけではなく、スターアライアンスに加盟している航空会社の利用が多い人にとっては、余ったマイルでANA GranWhale内での買い物体験できるシステムです。
「バーチャルで終わらせず、リアルと繋げていく」
ANA GranWhale記者発表会において、ANA NEO代表取締役社長の冨田光欧氏は、「リアル連携キャンペーンも進めていきたい」とコメント。質疑応答時、「バーチャル内で旅行をしたいという気持ちが満足してしまって現実側で旅行をしなくなるのでは?」との指摘もありましたが、「美しいグラフィックで観光地を見てもらうことで、逆に旅行がしたくなる方が増える。現実の旅の価値は下がらないと考えている」とのこと。加えて、ホテル予約地域連動キャンペーンなど、バーチャルとリアルを繋げる施策も打ち出していくそうです。
またANA GranWhaleは、新しいライフスタイルの実現に向けた展開も企画。最初のステップ1ではバーチャル体験を提供し、次のステップ2ではコミュニティの形成に着手。世界中の人々の架け橋となることを狙います。さらにステップ3ではANA GranWhaleを用いた教育や金融サービスの提供や、行政サービスとの連携も視野に入れているとのこと。
まずはANAマイレージクラブが持つ4000万人の会員のうち、3割(約1200万人)がANA GranWhaleを使うことを想定し、Vマイルの課金およびSkyモールへの出店や広告機能を利用する企業を増やし、利益の軸としていく予定です。