大日本印刷株式会社(DNP)は、新たなフロントプロジェクター用透明スクリーンを開発しました。輝度と透明度を大きく向上させ、明るい場所でも空中に鮮やかな映像が浮かび上がるような演出が可能です。AR(拡張現実)技術と組み合わせた活用や、バーチャルキャラクターを投影するなどの利用が考えられます。
(従来の透明スクリーン(左)、新発売の透明スクリーン(右))
開発の背景
DNPは2013年3月より透明スクリーンを提供しています。透明なフィルム上に、光を透過する部分と光を拡散する部分を交互に配置。このフィルムを透明なガラスやアクリル板に貼ることで、背景が見える状態で、プロジェクターの映像を空中に浮いているように表示できます。
今回DNPは独自開発した特殊な光学レンズをスクリーンに用いています。透明性を向上させるとともに、効率よく視聴者側に光を向ける技術の開発に成功。明るい場所でもより鮮明に、空中に映像が浮かび上がるような演出が可能となりました。
新しいスクリーンは高い透明性が求められる箇所、照明の位置などを気にすることなく、より自由な設置場所を選択することができます。
今後の展望
今回の発表では明記されていませんが、透明性が高いスクリーンを使って空間にコンテンツを投影、AR技術と組み合わせるといった活用も考えられそうです。アマゾンやディズニーでは、プロジェクター投影型のARを検討しているとのニュースもありました。
(ドワンゴのスタジオにて、透明な有機ELモニターを利用している様子。メーカー名は非公開となっている)
それ以外にも透明スクリーンの用途として、バーチャルなキャラクターを現実に出現させるような使用事例が複数存在します。ドワンゴによるバーチャルYouTuber(VTuber)収録用スタジオや、イベント「超会議2018」にて行われた「超バーチャルYouTu“Bar”」ブースなどにおけるバーチャルキャラクターの表示などが挙げられます。透明スクリーンを利用することで、バーチャルキャラクターを現実の風景に違和感なく登場させることが可能です。
DNPは今後、公共施設や店舗、企業のショールーム、イベント会場などでの利用に向けて本製品を販売していきます。そして空間デザインや映像の作成・配信などを組み合わせたトータルなソリューションとして、さまざまなサービスを提供し、2021年度に年間7億円の売上を目指すとしています。