NVIDIAやクアルコムら、複数の企業で取り組んだVR活用のPoC(概念実証)が成功を収めたようです。エッジコンピューティングと5Gの技術を用い、遠隔地にいるエンジニア同士がコラボレーションを行うという内容です。
3Dモデルを超低遅延で共有
PoCの舞台となったのは、英国で電気自動車向けバッテリーを製造するHyperbat社です。互いの距離が70マイル(約112キロメートル)という遠隔地にいるエンジニアチームが、原寸大の電気自動車用電池の3Dモデルを共有しながら、リアルタイムで設計工程に取り組みます。
今回のPoCには、チップセットメーカーのクアルコムや、英国のスタートアップ企業Masters of Pieが参加。使用したデバイスは、クアルコムの5G対応AR/VRデバイス専用チップセット“XR2”をベースとしたVRヘッドセットのリファレンスモデルです。Masters of Pieのエンタープライズ向けプラットフォーム「Radical」を使い、3Dモデルのリアルタイム共有が実現しました。
そしてカギとなったのはNVIDIAのCloudXR技術、及びRTX 仮想ワークステーションソフトウェアプラットフォームを用いたストリーミングです。膨大なデータはまずエッジコンピューティングで処理され、VRヘッドセットへ超低遅延のストリーミングを可能にします。
英国に新たなイノベーションを
一体型ヘッドセットを用いるため、セットアップの手間や、膨大なデータのダウンロードやアップロードも不要。お互い同一の対象(3Dモデル)を扱いながら作業しているため、反復作業もなくなりました。この結果、デザイン工程の効率化を達成し、生産工程そのものの迅速化にも寄与すると考えられます。
「Hyperbatのケースは、5Gとデジタル化が英国経済と産業の活性化をどのように進められるかという、新たなデモになりました」と参加企業の1社、エリクソンUK/アイルランドのCEOは話しました。この技術を使えば「効率性を大幅に高め、我々が全く新しい規模のイノベーションを起こせる」ということです。