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活用事例 2017.06.08

VRで酔わずに移動するには? グーグルがベストプラクティスを公開

現実世界である地点からある地点まで歩いて移動するのは簡単で自然に行えますが、VRで自然と感じるような体験にするのは難しいです。グーグル社内にあるDaydream Labのメンバーは、快適かつ直感的に移動する方法を模索している中で発見したいくつかのベストプラクティスをDaydream Elementsとしてリリースしました。このデモの中核となる歩行による移動について学んだことを抜粋して紹介します。

移動するときは一定の速度を維持

VRでの移動において、人の視界とバランス感覚との間に矛盾が生じると、酔いを引き起こす可能性があります。たとえばジェットコースターのように、空間中を加速していることを示す画像が表示されても、実際には部屋の中で動いているわけではありません。その結果、見た目と脳の平衡をつかさどる前庭器官の感覚が一致しません。これを緩和する方法として、移動中は一定速度を維持するべきです。VRでより現実的な動きを表わすために加速を利用したいかもしれませんが、一定速度を維持する移動は加速するよりもよっぽど快適です。

中心部のみに移動画像を見せるトンネリング

トンネリングとは、移動中にカメラの画像が中心部のみとなり、周辺の視野には固定グリッドが表示される表示手法で、一人称の歩行などで使用します。これはテレビで一人称の歩行を見ることに似ています。

テレビ番組や映画には加速するような動画が含まれていますが、ほとんどの人はテレビで酔うことはありません。これはおそらく、テレビは視界のほんの一部を占めているだけで、周辺の視野は制止した部屋が見えているからです。VR開発者は3D環境で移動している人々に視覚的な「トンネル」を表示することで、テレビを見ている状態を再現できます。またトンネリングの出入りを自然に行うためフェードすることが有効であることも分かりました。『Google Earth VR』では、このアプローチをコンフォートモードという機能で使用しています。

テレポートは「暗黙の動き」を表現する

テレポートは、一人称視点での移動方法で、瞬時に目標の場所に移動できます。この移動方法は、バーチャルカメラが動くときに多くの人が感じるシミュレーター酔いを軽減できます。しかし、人々が空間的なコンテキストを維持することが難しくなり、「私はどこにいるの?どうやってここまで来たの?」という状態になってしまいます。そこで、Daydream版のグーグルストリートビューでは、テレポーテーションの前後はフェードアウトします。その後、新しい場所に移動すると、シーン全体を素早く体験者の方に移動し方向性のある動きを伝えます。この効果は「暗黙の動き」と呼ばれています。

回転は離散的に

体験者が立っていたり、回転する椅子に座っていると仮定してコンテンツを作れると動きのあるものができます。しかし、ハードウェアの制限や物理的な制約により360度回転を完全に行えない場合があります。VR環境でどこに行きたいかを体験者自身が確認できるようにするには、VR空間内で自分自身を回転できるようにすることを盛り込むべきです。しかし、連続的かつアニメーション化された回転は酔いを誘発する傾向があります。その代わり、約10~20度の離散的で瞬間的な回転が心地よく感じられ、体験者の思考を維持するのに十分な視覚的コンテキストを提供できることが分かりました。

(参考)
Daydream Labs: Locomotion in VR – (英語)
https://www.blog.google/products/google-vr/daydream-labs-locomotion-vr/


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