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テック 2017.10.17

【実機レビュー】5.7K画質の360度カメラ「Garmin VIRB 360」のユーザー体験が凄かった

Insta360 ONE、RICOH THETA Vに加え11月にはGoPro Fusionが発売されるなど、4K映像の記録可能なハイスペック360度カメラが続々と登場してきました。しかし360度カメラはスペックだけでは判断できません。画像のスティッチング(2つのレンズの繋ぎ目)や無線の繋がりやすさ。専用アプリの完成度など、画質以外にもさまざまなユーザー体験の質を評価しなければ本当に良いカメラなのか分かりません。今回は、米ガーミン社が9月28日に発売したVIRB 360をレビューします。価格は税別92,408円。

いざ開封!内容物は以下の写真の通りです。アクションカメラ用のマウントと通常のカメラネジのマウントを付け替えることができます。

組み立ててみる。

静止画

まずは静止画。スティッチングが甘めですが、自撮り棒を利用したり近くに物を置かなければ気にならない程度。全体的にはきめの細かい絵が撮れる印象です。


アプリでのスティッチング距離の設定が可能ですが、使ってみた印象としてはあまり効果はありませんでした。今後のソフトウェア改善に期待です。

直感的な編集が楽しいアプリ

こちらは4K30fps。スタビライズがかなり効きます。

アプリからの動画編集からアップロードまでが、ストレスフリーなのが魅力です。

1:撮影した映像のスタビライズ設定

2:トリミング

3:倍速設定

4:音楽の追加もできてしまう……

5:VIRB 360は気圧高度計、加速度計やコンパスなどがカメラに内蔵されているのが特徴です。その情報を映像にオーバーレイ表示させることができます。

書き出してYouTubeにエクスポートすると、すぐに閲覧可能です。

モバイル版のアプリでは機器によって4K書き出しに限界があるため(筆者のSamsung Galaxy S7では書き出し不能)、PCソフト(Win / Mac対応)での書き出しがおすすめです。カメラでは5.7Kの映像撮影が可能ですが、付属のソフトウェアでは4K書き出しまでの対応です。そのため、5.7K画質をそのまま書き出すには別途プロ用のソフトウェアが必要になります。しかし4Kで書き出しても、元が5.7Kのためか解像感の高い映像に仕上がります。

PCソフトでは、HyperFrame機能がオススメ

おすすめの付属PCソフトですが、使ってみるとこれがめちゃめちゃ楽しい!
豊富に機能があるのに、完成度が高いものばかりです。ここではHyperFrame機能とMetrix機能を紹介します。

HyperFrame

HyperFrame機能は、360度動画の見せたい部分のみを編集できる機能です。以下のような動画を作成することができます。他機種(Insta360 ONE)でもスマホアプリに自由視線編集という機能がついていましたが、個人的にはこちらの方が直感的・安定的に操作できると感じました。

編集画面はこんな感じ。

G-Metrix

・スピード
・距離
・標高
・比高
・重力
・ジャンプメトリクス:ハング時間、ジャンプ高さ、ジャンプ距離、空中での回転、ジャンプ数
・勾配
・ペース
・ピッチ
・ロール
・コース
・方位
・GPS座標
・トラックシェイプと位置
・ラップ時間 (Automatic/CC, Manual)
・ラップ数(自動/CC、マニュアル)

これだけのデータを画面にオーバーレイ表示させることができます。相対高度などの設定もできるのですが、こんなに細かくやってくれるのか、という密かな感動を覚えます。そして、自分の辿ってきた軌跡を見られる面白さと言ったら……。

今までの360度カメラでは感じられなかった楽しさです。ただ歩き回って撮影しても、ただの動画にならない。一味も二味も後の編集で楽しめる機能が満載です。

優れたユーザー体験

このカメラで最も期待して良いのが操作性などのユーザー体験(UX)です。通常360度カメラを使用する時には、まず無線の設定から始まることが多いです。スマホで無線を繋ぐことの利点として、撮った写真を転送してすぐに見られることやISOや露出を調整できることが挙げられます。しかしうまく繋がらず、接続に手こずってしまうとかなりのストレスがかかります。そのため、実際に使用する場面でわざわざスマホと無線で繋ぐことを避けてしまうことも。

従来製品ではパスワードをいれても認証エラーが続いたり、撮影途中で勝手に無線が切れるトラブルが発生することが多い……。

今回VIRB 360を使用してみて一番驚いたのは、この無線関連やアプリの安定性がかなり高かった点です。最初のWi-Fi接続からスムーズに接続してくれるため、無線の設定の煩わしさがありません。筆者は銀座中央通りでも設定を試しましたが、混線状態でも強いようです。その上、スマホをスリープして接続が切れてしまっても10秒程で再接続可能です。VIRB 360は安定性に加え操作性やわかりやすさに長けているため、使っていてストレスを感じません。ユーザー体験の高いカメラだと言えます。

スマホアプリのダウンロードはこちら(iOS / Android)から。

その他便利な機能

VIRB 360には、赤いスライドスイッチがついています。これは、通常のビデオの録画ボタンのようなもの。スイッチをスライドさせるだけで電源ボタンを押さずとも起動して録画を開始してくれる、優れものです。『今、この瞬間を撮りたい。』という一瞬の衝動にも応えてくれます。

他にも、カメラがどこにあるか分からなくなった時に音を鳴らして場所を教えてくれる機能も搭載。

「カメラの形状からレンズを傷つけやすいかな?」と思いましたが、交換用レンズキットも購入可能です。無線やアプリについては、安定性が他の360度カメラに比べて圧倒していると言っていいほどの充実っぷりです。スマホのスリープからの立ち上がりで再接続が毎回うまくいくのは、航空機から船舶、自動車に向けて通信機能にこだわった製品をつくり続けるGarminならではと感じます。センサーや機能の多様さにもユーザーがカメラを使って楽しめるような工夫が感じられ、その多様さをコントロールするインターフェースデザインも優れています。唯一スティッチングが惜しい点ですが、他部分での満足度がとても高いカメラです。

その分、他の5万円前後の機種に比べてやや高めの税別92,408円です。しかしのその価格差を補って余りある満足度の高さ。本格的な360度をしたいというアマチュアからプロの方はぜひ触ってみて損はないカメラです。

詳細スペック

本体重量

約133 g(バッテリー含まず)/ 約160 g(バッテリー含む)

本体サイズ

3.9 x 5.93 x 6.98 cm

防水仕様

10 m

温度範囲

動作温度:0度~40度
充電温度:0度~45度
保管温度:-40度~85度

メモリー

UHS-I、Class U3かそれ以上のmicroSDカード(別売)、最大128GBまでを推奨

電池

充電式リチウムバッテリー

バッテリー寿命

約65分

ビデオ

ビデオの解像度

5.7K(2880×2880)/30fps アンステッチ
5K(2496×2496)/30fps アンステッチ
4K(3840×2160)/30fps インカメラステッチング

ビデオモード

ビデオ、タイムラプス

カメラ内ステッチング

有(最大4K/30fps)

360度音声

有(4マイク内蔵)

全天球スタビライゼーション(最大4K)1

3モード:スタビライズ、ロック、フォロー

最大ビットレート

最大120Mbps(5.7K RAW)

マニュアルカメラ制御

有(ホワイトバランス、露出等)

VR互換性

画角

360度、水平および垂直方向

シングルレンズモード

写真

写真の解像度

最大15MP(インカメラステッチング)

写真モード

シングル/タイムバースト/タイムラプス
※多様なシーンを撮影できるよう360°、RAW、フロントのみ、リアのみの撮影が可能。

マニュアルカメラ制御

有(ホワイトバランス、露出等)

画角

360度、水平および垂直方向

シングルレンズモード

接続機能

無線

Wi-Fi、Bluetooth、NFC、ANT+

スマートフォン互換性

ライブストリーミング(Apple®機器のみ)

VIRB 360を互換性のあるiPhoneまたはiPadに無線接続した時FacebookとYouTubeで利用可能

VIRBモバイルアプリ

VIRB(コントロール、編集、スタビライズ、拡張、共有)

VRモード

Cardboardヘッドセットと互換性を持つ再生

デスクトップソフトウェア

VIRB Edit(編集、スタビライズ、拡張、共有)


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