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活用事例 2017.06.01

フェイスブック最高製品責任者クリス・コックス氏「360度動画には未来を感じた」AWAsia 2017で語る

5月31日、六本木ミッドタウンで開催されたビジネスフォーラム「Advertising Week Asia 2017(AWAsia 2017)」の基調講演に、フェイスブック社の最高製品責任者であるクリス・コックス氏が登壇し、同社のVR/ARの取り組みについて語りました。

クリス・コックス氏はフェイスブックの創業間もない頃からのメンバーの1人。コックス氏がジョインした頃は、まだ同社はシェアオフィスに構えていたとのこと。さらに当時の同じシェアオフィスにはAndroid社が入居しており、お互いに「SNSならマイスペースがあるじゃん」「スマートフォンOSならブラックベリーがあるじゃん」と思っていたことを話しました。スタートアップが業界最大手のプレーヤー(マイスペースとブラックベリー)に挑む姿勢は、外から見ると、たとえ実際に挑んでいた当事者でさえ、当時は不思議でならなかったようです。

シェアオフィスの頃の写真

コックス氏は、2017年は動画によるコミュニケーションが普及する年になると語った上で、その延長として360度カメラによる360度動画とライブストリーミングに取り組んでいくと述べました。スライドでは、スマートフォンに直挿しする360度カメラ「Giroptic iO」と「Surround 360」の2つの360度カメラシステムを紹介。

Giroptic iO。AndroidとiPhoneに対応した各バージョンがある

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コックス氏は初めて360度動画を体験した時に「未来を感じた」「とにかく凄いと思った」とのこと。これからは例えばスポーツイベントなどで、360度動画・ライブストリーミングが行われていくだろうと語りました。

先日行われたフェイスブックの開発者会議「F8 2017」でも使われた同社の10年間のロードマップも紹介。AR/ VRの分野として、下記の7つが確認できます。

  • BCI(ブレイン・コンピューター・インタフェイス)
  • モバイルVR
  • Oculus Rift
  • Oculus Touch
  • ソーシャルVR
  • スタンドアローン(一体型HMD)
  • AR

BCI(ブレイン・コンピューター・インタフェイス)は脳から直接コンピューターへの入力を実行する、コンピュータから人間の脳に直接情報を出力するというもの。先述した「F8 2017」で、その概念や研究が発表されると、大きな反響を呼びました。詳しくはこちらの記事で紹介しています。

「脳で書く」「皮膚で聴く」フェイスブックが考えるコンピューティングの未来【後編】

このロードマップには、10年後のための最新技術としてVR/ARが示されています。コックス氏は「スマートフォンの次のデバイスは何になるでしょうか」と聴衆に問いかけた後、メガネ型のデバイスをスライドに映し「(2世代先の)孫の頃にはメガネ型のデバイス上に情報が表示されることも当たり前になっているかもしれない」と語り、手のひらのコンピュータであるスマートフォンから、シースルー型のメガネ型のデバイスに技術が進歩することで、人々の生活が変わることを示唆しました。

また、ARへの活用としてはゲームやアートに組み込めるかどうか、その可能性を検討していることが明かされました。しかしそれを実現するには現行のフェイスブックのARサービスの技術では不十分だとし、そのためには「物体認識(Object Recognition)」と「SLAM(自己位置推定と環境地図作成を同時に行うこと)」の技術が必要になってくると、フェイスブックがこれらの技術開発に取り組んでいることについても言及しました。


Object Recognition(物体認識)についてのスライド

SLAM(Simultaneous Localization and Mapping)についてのスライド

VRのコンテンツでは「ゲーム以外のもの」としてソーシャルVRの『VR Spaces』を紹介。ビデオ会議に代わって普及する可能性を指摘しました。

VRについての言及は比較的少なかったですが、コックス氏は基調講演の中で「キーボードの出力以外の情報の共有」や「ビジュアルランゲージによるコミュニケーション」の重要性を自身のエピソードを交えながら話していました。

フェイスブックも最初はテキストによるコミュニケーションで、今では当たり前となったニュースフィードも無い状態から始まりました。そしてテキストの次には、インスタグラムといった写真によるコミュニケーションを当たり前のものにし、そして現在は動画によるコミュニケーションの普及に力を入れるなど、段階的に高度な情報、ビジュアルによるコミュニケーション方法を実現しています。さらに動画の次として、360度動画やAR、VRへの発展を示しています。

VRはこれまでの技術にない高いプレゼンスを発揮し、視線の動きや手の動きなどで情報の伝達を可能にする技術です。VRなどの新しい技術を利用することが当たり前になることで、人々はどの様にコミュケーションを工夫し、コミュニケーションのあり方を変化させていくのか、ソーシャルでの活用にも期待したいところです。


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