【体験レポ】片目2Kのマイクロディスプレイ搭載 220gの小型軽量VRヘッドセット「Elf」

Kopin社は新型のマイクロディスプレイ「Lightning」が搭載された小型・軽量のヘッドセット「Elf」のモックアップを6月に行われたE3で展示しました。

マイクロディスプレイや外見についてのレポートはこちら
VRヘッドセット小型軽量化への期待 4KでOculusやViveより3倍薄いプロトタイプを体験

最近になり、米メディアRoad to VRの記者が実機を体験する機会があり、レポートが公開されました。以下はその要約です。

Kopin社とGoertek社が協同で開発しているプロトタイプVRヘッドセット「Elf」

Kopin社は中国のGoertek社とヘッドセットの製造に関して協力しており、今回のハンズオンはGoertek社のシリコンバレーにあるオフィスで行いました。

新型ヘッドセット「Elf」はKopin社の1インチディスプレイ「Lightning」を搭載しており、片眼の解像度が2048×2048ピクセル、リフレッシュレートが120Hzです。ヘッドセットはOculus RiftやHTC Viveよりも小さく、重量は半分以下の220gです。ただし、Elfヘッドセットにはオーディオ機能や、IPD調整、位置トラッキング機能は含まれていないため、RiftやViveと同等の機能を持つヘッドセットにするためにはもう少し重くなると考えられます。

今回のプロトタイプのヘッドセットに組み込まれているレンズの視野角は70度ですが、別途80度と100度のレンズを試作しています。

Kopin Elf
プロトタイプ

Oculus Rift

HTC Vive

Acer MR
開発者版

解像度

有機EL
2048×2048 2枚

有機EL
1080×1200 2枚

有機EL
1080×1200 2枚

液晶
1440×1440 2枚

リフレッシュレート

120Hz

90Hz

90Hz

90Hz

視野角

70度
(80度、100度を開発中)

110度

110度

95度

重量

220g

468g

470g

350g


ヘッドセットはディスプレイポートとUSB-CケーブルでPCと接続します。Kopin社は、OpenVRのドライバーを開発しているため、SteamVRのコンテンツが体験でき、今回体験したデモコンテンツもSteam VRで公開されている脳のニューロンを見て回る「InMind 2 VR」というコンテンツでした。

RIftやViveよりも3倍以上のピクセル数を持つディスプレイにより鮮明な映像体験が可能 一方でレンズにはまだ課題あり


記者がデモコンテンツを体験するためにヘッドセットを被って画面を見ると、RiftやViveよりも3倍以上のピクセル数かつ、画角も70度と狭いため(Rift、Viveは110度)とても鮮明に見えましたが、画面自体が暗く感じたとのことです。この点についてKopinの担当者は、市販するまでに明るさを倍にすることを目標にしていると述べています。

https://www.youtube.com/watch?v=PJUKW1ip3dk

また、ディスプレイに網目模様が見えてしまうスクリーンドア効果や、黒い背景に白文字を表示したときに顕著に発生する光のライン(ゴッドレイ)、色収差は発生しませんでした。
黒の発色もOLEDディスプレイであるため深い黒色が実現していたとのことです。

プロトタイプのヘッドセットは、回転だけトラッキングしており、ヘッドセットの回転に合わせて画像がなめらかに描画されていました。おそらくリフレッシュレートが120Hzであることが効いていると考えられます。
一方、レンズに起因すると思われる画像周辺部の歪みが気になったと記者は述べており、Kopinの担当者もヘッドセット用のドライバも開発中で、今後歪み補正は調整していくと述べています。

80度と100度のレンズを搭載したテストボードも体験

続いて、80度と100度の視野をもつレンズのプロトタイプを体験しました。こちらはヘッドセットには組み込まれ折らずテストボードに接続されていました。先ほどヘッドセットに組み込まれていた70度のレンズは非フレネルレンズでしたが、80度のプロトタイプは2素子のフレネルレンズで構成されており、70度や100度のレンズよりもかなり明るく映っていました。

100度のレンズは2素子の非フレネルレンズを使っており、70度のレンズと同じくらい暗いです。また、100度の視野角はありましたが、ディスプレイの端が見えてしまっていました。Kopinはディスプレイの端が見えないように将来的により大きなディスプレイを作ろうとしていますが、まだ数年はかかると予想されます。今回のデモを通して、80度のレンズオプションが没入感と画像の鮮明さの両方を満たすスイートスポットなのではないかと記者は述べています。

今回のプロトタイプを元に他のエレクトロニクスメーカーに売り込みへ

以上がハンズオンレポートです。注意すべきなのは「Elf」ヘッドセットは製品になることはなくKopinのマイクロディスプレイとGoertek社の製造能力を示すプロトタイプだということです。Kopinは他のメーカーにこのLightningディスプレイをベースに製品を開発して欲しいと考えており、Elfヘッドセットはそのためのデモ用に開発されています。Goertek社もさまざまな家電メーカーに対して積極的にマーケティングしていると述べています。

今後、LightningディスプレイやElfをベースとしたVRヘッドセットが登場するのか注目したいいところです。

(参考)
Kopin’s ‘Elf’ Headset is Impressively Compact, More Than 3x the Pixels of Rift and Vive / Road to VR(英語)
https://www.roadtovr.com/kopin-prototype-vr-headset-lightning-microdisplay/

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この記事を書いた人

  • あつぽん

    日本でMRシステムの開発に携わった後アメリカへ渡り、VR/MRシステムを企業へ導入するための検討・開発に従事。現在は日本在住。

    人間の能力そのものを拡張させるテクノロジー「ヒューマンオーグメンテーション」のコンセプトに惹かれ、その界隈の動向に強い関心を持っています。その中で実用化フェーズにあるVR/MRの盛り上がりをより広い範囲へわかりやすく伝えていきたいと思っています。

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