チェコのスタートアップVRgineersは、同社のVRヘッドセットXTALに搭載するARモジュールを発表しました。VRとARの切り替えが行えるほか、広角カメラによるインサイドアウト方式のトラッキングも実現します。
企業向けハイエンドデバイスXTAL
VRgineersが開発しているXTALは、プロフェッショナルと企業向けのハイエンドVRヘッドセットです。5Kの解像度(片目で2,560×1,440)。Leap Motionを使うことでコントローラを手に持たないハンドトラッキングを特徴としています。価格は5,800ドル(約64万円)です。
2018年12月には、視野角180度を実現した新バージョンのデバイスを発表しました。
「史上最も進んだMRシステム」を謳う
今回発表されたARモジュールについて、同社は「史上最も進んだMRシステムであり、完全な没入感を実現する唯一のエンタープライズレベルMRシステム」だと自負しています。モジュールは一対の広角カメラとセンサーを内蔵。位置トラッキング、ハンドトラッキング、そしてVRとARの切替を可能にします。
なお現在のデバイス重量がストラップ部分を含めて2.67ポンド(約1,200グラム)に対して、ARモジュールはわずか42グラムということです。総重量にはほとんど影響がないと言います。
航空宇宙、自動車業界などで活躍
モジュールの搭載により、XTALのユーザーはVRとARの切り替えが可能になります。VRgineersによれば、ARモジュールが特に活躍するのは車内や飛行機のコックピット、シミュレーターといった閉鎖された空間だということです。このような場所では、アウトサイドイン方式のトラッキングに必要な外部センサーやカメラを設置することが困難です。しかし同モジュールはインサイドアウト方式のトラッキングが可能なため、この問題を解消できます。
インサイドアウト方式のトラッキングデモ動画からは、XTALが実際に置かれた物を認識し、非常にリアルなAR画像を映せる様子が見て取れます。
VRgineersはこのモジュールが、パイロットのトレーニングといった重要性の高いアプリケーションにおいて、1つ上のレベルの没入感を実現するとしています。リリース時期や価格は明らかになっていませんが、航空宇宙、自動車、シミュレーション業界のパートナー企業に対しては2019年後半にベータ版提供予定です。
ARモードへの切替が可能なVRヘッドセットはフィンランドのVarjoも先日「XR-1」を発表しています。
https://www.moguravr.com/varjo-xr-1/
(参考)Venture Beat