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業界動向 2018.05.29

その洗礼は“本物”なのか?「VR教会」に賛否両論

多くのキリスト教徒にとって、洗礼を受けるのは自身の信仰を宣言し、生まれ変わる儀式です。セレモニーは通常教会で行われますが、この洗礼の儀式までもVR内で行う「VR教会」が、ソーシャルVRに登場しています。

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VR教会で洗礼式

VR Church(VR教会)」は、ソーシャルVR内にあるバーチャル教会です。現在はソーシャルVRのAltspaceVRに存在します。このVR教会で2名のユーザーの洗礼式が行われました。100人以上のユーザーが世界中から儀式に参列し、通常10秒程度で行われる洗礼を、数分間かけて行いました。

VR空間の教会については、他の教会の指導者から疑問も投げかけられています。Alfonso Mendoza牧師(教育の専門家であり、VR/ARの熱心なファンでもあります)は、メディアVRScoutとのツイッターでのやり取りで、次のように述べています――「聖書では、公に信仰を宣言する洗礼の儀式について説明しています。最新技術は確かに多くの人にメッセージを届けるのに役立ちます。しかし、信徒にとって大切なイベントを代替すべきものではありません」と。

VR教会のDJ Soto牧師はこれと異なる見解を持っています。VRScoutの取材に対し、「我々は、VR空間に洗礼というトピックスを提示しました。そしてこの問題について真剣に議論した結果、VR空間での洗礼は可能だという結論に達しました」と話しています。そして「洗礼は象徴的な行為です。古い人生を捨て、新しい人生を歩むということの象徴なのです」と説明しています。

バーチャルな教会のあり方

バーチャルな教会というアイディア自体は新しいものではありません。例えば仮想世界の先駆けである「セカンドライフ」が流行した時も、ユーザーは仮想空間での礼拝を仮想世界で行おうと考えました。そして大手ストリーミング配信サービスTwitchでさえ、毎週の礼拝の集まりに使うユーザーが存在しています。

VR技術が進歩し、使いやすくなるにつれ、これまでよりもいっそう没入感のある教会での体験が可能になっています。DJ Soto牧師はAltspaceVRを使ったとき、ソーシャルVRの持つ可能性に気づきました。同じ信仰を持つ人を集め、イベントを開き、同じ場所に人々が集える――それも容易に。彼はVR教会という着想に至り、2日後には5名の出席者とともにバーチャルな教会を始めました。

VRなら一人ではない、誰でも参加できる

現在VR教会には毎週日曜に30人程度の人が集まり、信仰について話し合っています。参加者の一人はこう話しています。「私は普段はシャイです、たとえ教会にいても。でもVRの中ではそれが解消されるのです」「他の場所から来た、同じ信仰を持つ人と空間を共有していると、『自分は一人ではない』ということに気づきます」

またVR教会であれば、身体の障害のために教会に来ることが難しい人でも通うことができ、洗礼を受けることも可能です。

Soto牧師はフェイスブックのSpacesも使いながら、人々を繋ぐことを続けています。VR教会は好ましい、信仰の新しいあり方だと考えており、他の教会もVRの世界に入り、その可能性に気付いてほしいとしています。

(参考) VRScout
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