日本時間5月1日にValve社から詳細が発表された新型VRヘッドセットIndex。コントローラーとベースステーションを含むフルセットが999ドル(約111,000円)、試験的であるとはいえ144Hzモードを備えるこのデバイスをリリースした背景には、迫真性(fidelity)を重要視する同社のゲーム開発チームの意向がありました。
AAA級のVRコンテンツを実現するデバイス
Indexは、Valveが発表した新型VRヘッドセットです。同社がHTCと共同開発した「HTC VIVE」のように他社との提携によるものではなく、Valve独自のデバイスです。
Valveは社内のVRゲーム開発チームの意向が、この新型VRヘッドセットには色濃く反映されていると言います。「Valveのゲームチームは、AAA級のVRコンテンツ開発をサポートすべく、より高い迫真性を要求してきました。その結果、Indexでは明確な技術的イノベーションが実現したのです」同社はメディアRoad to VRに対してこのようなプレス資料を送付しました。
上述の”技術的イノベーション”は、超低残像を謳うディスプレイ、実験的な144Hzモードも搭載するというフレームレート、ヘッドホン一体型の特徴的なデザイン等を指していると考えられます。
ゲーム開発チームの意向が反映されているのは、技術的スペックだけではありません。デバイス発表の際ValveのVRハードウェア開発チームは、同社のVRコンテンツ担当チームが“full length(省略のない完全な)”VR体験の制作を常に話題にしていることを明らかに。すなわち、長時間装着していても快適なヘッドセットが必要だということになります。
ターゲットは既存のVRユーザー
このように要求されるパフォーマンス、エルゴノミクスを十分なものとすることが、Valveにとっては何よりも最優先事項でした(ハードウェアチームは、”fidelity first(迫真性が第一)”という言葉で表現しています)。その結果、デバイスがプレミアム価格になるということは承知の上で行っているようです。
同社はIndexのターゲットユーザーについても明快に説明しています。「Indexは、既にVRを何度も体験している既存のユーザー向けです。もっと(迫真性を)求め、待ちきれない人たちです」とハードウェアチームは語りました。
同社の方針は、VRのアーリーアダプターにとってぴったりだと言えます。この層は高い没入感を求め、HTC ViveやOculus RiftのようなPC向けハイエンドVRヘッドセットを購入してきました。彼らが次のデバイスとして、迫真性を一歩先に進めるIndexを求める可能性は高いでしょう。
使いやすさを重視したOculus
Indexは日本時間5月2日から出荷地域を限定してプレオーダー受付を開始しました。5月21日現在、日本は出荷対象国に含まれておらず、今後対象となるか否かも不明です。
一方で競合のフェイスブックからは、低価格と使いやすさを重視したPC向けヘッドセットOculus Rift S、一体型ヘッドセットOculus Questという2機種がリリースされます。このような各社の戦略の違いも注目に値します。
(参考)Road to VR
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