Home » Unityが料金体系を変更、累計インストール数に応じた追加料金で事実上の値上げ 24年1月から


開発 2023.09.14

Unityが料金体系を変更、累計インストール数に応じた追加料金で事実上の値上げ 24年1月から

ゲームエンジン「Unity」の新料金体系「Unity Runtime Fee」が発表されました。開発ツールの定額料金に加え、過去12ヶ月間の収益・累計インストール数が一定以上のゲームには、2024年1月1日以降に発生したインストール1回あたり0.01〜0.2ドル(約1.5~30円。2023/09/13時点)の追加費用が生じます。


(出所:Unity)

現地時間9月13日、ゲームエンジン「Unity」を開発するUnity Technologiesは、2024年1月から新料金プラン「Unity Runtime Fee」を適用すると発表しました。なお、2023年12月31日までに有料プランを更新したユーザーには、更新時に新ポリシーが適用され、2024年1月1日から追加料金が発生します。

「Unity Runtime Fee」料金発生の条件は?

料金発生の条件(プラン別)

料金発生の条件は、大別して個人向けと法人向けで異なります。ただし、閾値以上のインストール数があっても、収益の閾値に達していないゲームには、この料金は発生しません


(新料金プランの適用条件。出所:UnityをもとにMogura VR編集部作成)

料金計算の基準(インストール数別)

この費用は、プレイヤーの利用状況に応じて都度発生するわけではなく、累計インストール数を閾値として計算され、2024年1月1日以降のインストール1回ごとに1度だけ発生します。発生料金はインストール数に応じて値下げされる仕組みで、Unityは、「この費用はゲームの成長につれ、ライセンス利用料の負担と相殺される」と説明しています。


(プラン別の追加費用。出所:UnityをもとにMogura VR編集部作成)

インストール数の測定は初回にのみ適用されます。特定のユーザーがアプリケーションを削除し、再インストールした場合は追加の支払いは発生しません。「PCにインストールし、その後スマートフォンにもインストールする」といった、同一ユーザーによるデバイスをまたいだインストールについては、回数分の料金が発生します。

ゲーム新興国向けの料金は割安に

インドなどゲーム新興国向けの料金は、インストール数の閾値がなく、より低額の料金がプラン別に設定されています。


(新興国向けのプラン別の追加費用。出所:UnityをもとにMogura VR編集部作成)

産業向けアプリケーションには影響なし

公式FAQによれば、数年前に発表されたゲームであっても、2024年1月1日以降に収益及び累計インストール数の条件を満たした場合は、追加料金が請求されます。

ただし、映画・ギャンブル・教育向けのサブスクリプションプランでは、料金が発生しません。これは、導入サポートを含む法人向けプラン「Unity Industry」の一部ユーザーを指すものと思われます。Unityは、詳細な説明についてはUnityのアカウントマネージャーまたは営業窓口に問い合わせるよう呼びかけています。

Unity Plusの新規契約を停止、Unity Proに統合

加えて、2023年9月12日から最低額の有料プラン「Unity Plus」の新規契約受付が停止されました。契約中のユーザーは、現在の料金で「Unity Pro」を1年間利用できますが、それ以降は別のプランに切り替える必要があります。Unityは対象ユーザー向けに、10月中旬に「Unity Pro」へのアップグレードを案内するEメールを届けるとのことです。

AI機能・開発ツール群を追加料金なしで使用可能に

また同社は、2023年11月から有料プランのユーザーが、クラウドベースのアセットストレージ、Unity DevOps ツール、ランタイム時のAI機能(Unity Sentis)を追加料金なしで利用できると発表しました。


(有料プランの追加サービス。出所:UnityをもとにMogura VR編集部作成)

事実上の値上げ、各国のユーザーから質問・コメントが相次ぐ

Unityの公式フォーラムには、執筆時点で5,000件以上の質問・コメントが寄せられています。Unityは公式FAQで、「ゲームがダウンロードされるたびに、Unity Runtimeのコードもインストールされます。Unity Runtime Feeは、毎月何十億ものデバイスをサポートするために、そのコードへの継続的な投資に充てられます」と説明し、追加料金に対する理解を求めています。

(参考)プレスリリース(日本語)料金説明(英語)FAQ(英語)Unityフォーラム(英語)


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード