Home » マッチングアプリ「Tinder」がメタバース活用を見直し、アプリ内通貨も撤回へ


業界動向 2022.08.05

マッチングアプリ「Tinder」がメタバース活用を見直し、アプリ内通貨も撤回へ

マッチングアプリ「Tinder」や「Pairs」を運営するMatch Groupは、Tinderを使ったメタバース提供計画の見直しを発表しました。同社は2021年11月に「アバターで利用するマッチングアプリを計画中である」と発表していましたが、これを縮小する見通しです。

メタバース空間やアプリ内通貨を構想

Match Groupは2021年11月、第3四半期の決算説明会において、アバターで利用するマッチングアプリを現在計画中とコメントしました。このアプリでは、アバターを利用してバーチャル空間で交流でき、「現実世界での交流に近い形で、メタバース体験を実現するもの」とされていました。同年6月にはARやAIを手掛けるHyperconnectを買収、さらにアプリ内通貨「Tinderコイン」の試験運用を行うなど、経済システムを含めた体験づくりの様子がうかがえました。

「現時点では、メタバースに大きな投資はしない」

しかし2022年8月、Match Groupは第2四半期の決算説明会においてTinderのCEO退任、そしてHyperconnectに関する事業の縮小を発表します。Match Group社CEOのBernard Kim氏は「メタバースの最終的な全体像や何が有効なのかが不確かな状況、そして自社の経営環境がさらに厳しくなることを考慮すると、Hyperconnectのチームは存続させるものの、現時点でメタバースに対して大きな投資はしないことを決めました」とコメント。メタバース分野の評価は継続し、十分なチャンスがあると判断できたときに事業を進める、としています。またTinderコインについても、「一度撤回し、収益に結び付くよう再検討を行う」とコメントしました。

決算資料によれば、Match GroupはHyperconnect買収に関する無形資産の減損損失計上により、同四半期の営業損益は1,000万ドルの赤字となりました。なお前年同期は、2,100万ドルの営業利益を報告しています。Match Groupの売上自体は前年比増加傾向のものの、アナリスト予想は下回り、第3四半期での伸長はほぼ見込まれていません。様々な企業による「メタバース」への熱量が高まり続けている一方、いよいよ淘汰の動きが出てきた——と見なすこともできるでしょう。

(参考)Match GroupThe Verge


VR/AR/VTuber専門メディア「Mogura」が今注目するキーワード