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“体験をつくる時代”にクリエイターは何を考えるのか——対談:水口哲也×松山周平

2010年代も終盤に入り、“つくる”ことはますます複合的になりつつある。「情報の時代から体験の時代へ」、あるいは「モノからコトへ」という言葉に代表されるように、“何かをつくる”ことは“体験をつくる”という、総合的なものへと変化し続けている。

この時代に求められる制作へのスタンスやチームづくり、そして今後の“体験”の行く末とは——。そんなトークが繰り広げられた、新進気鋭の若手クリエイターであるTHINK AND SENSEの松山周平氏、そして長年に渡り“シナスタジア(共感覚)体験”を生み出し続ける、エンハンス代表の水口哲也氏の対談をお送りしよう。


(写真左:株式会社ティーアンドエス THINK AND SENSE部 部長の松山周平氏、右:エンハンス代表の水口哲也氏)


松山周平/Shuhei Matsuyama
1991年生。ビジュアルアーティスト&プログラマー。株式会社ティーアンドエスではTHINK AND SENSE部の部長を務める。先端技術を活かした展示やアート、インタラクティブなパフォーマンスを得意としており、マイクロソフトのMRデバイス「HoloLens」を活用した「Pokémon GO AR展望台」「AR Roppongi x Ingress」などに携わる。クリエイティブレーベルnor所属。著書に「Visual Thinking with TouchDesigner」がある。


水口哲也/Tetsuya Mizuguchi
2014年、共感覚とXRテクノロジーの融合を目指すスタートアップ、エンハンス(Enhance)社を設立し代表に就任。2001年に制作したゲーム「Rez」を皮切りに、様々な感覚が混然一体となるシナスタジア(共感覚)体験を生み出し続けている。「Rez Infinite」(2016)、「テトリス エフェクト」(2018)、音楽を光と振動で全身に拡張する「シナスタジア・スーツ」(2016)、共感覚体験装置「シナスタジアX1 – 2.44」(2019)など、新たな体験の拡張を目指している。エッジ・オブ(EDGEof)共同創業者兼CCO、慶應義塾大学大学院メディアデザイン研究科(Keio Media Design)特任教授を兼任。

徹底的に作って試す、徹底的に考える

松山周平氏(以下、松山):

さっそくですが、水口さんたちが制作を始めるとき、言い換えると“ゼロから1を作るとき”、どのようにスタートするのか伺わせてください。

水口哲也氏(以下、水口):

いきなり難しい質問ですね(笑)

松山:

すいません(笑)。自分たちの作り方と水口さんの作り方はだいぶ違うであろうと感じていて、そこの差異ってなんだろう、と。水口さんは長い間、ゲームの頃からずっと体験を作り続けているわけですから、ご自身の取り組む流儀やアプローチ方法があると思うんです。そこをお伺いしたくて。

水口:

そうですね……僕の場合、いわゆる“ゼロイチ”が始まるより前に、常にたくさんの小さなゼロイチを考え続けています。細かなアイディアや思考がたくさん走っていて。最終的にはプロジェクト化するケースが多いですね。

松山:

自分たちは作って試すのを繰り返すことが多いです。アイディアの段階で「これは面白いぞ!」と思ったものの、試作してみたら全然ダメ、というのはすごく多いですし。プロトタイピングで面白さや良さのコアがつかめてから、体験を本格的に作り込んでいきます。

水口:

プロジェクトの期間や規模といった、環境に左右されますよね。大きいプロジェクトだと、最初の“ゼロイチ”から世に出るまでに3,4年かかったり、あるいはかけたりします。

松山さんたちとは逆ですが、最初の1年や1年半は手を動かさず、数人が頭の中で動かし続けるんです。ギリギリまで模索して、「いよいよ作らないと分からん!」となってからがスタートですね。潜伏期間が長いものをたくさん走らせている。誰かが決めたわけじゃないんですが、いいやり方だと思っています。

松山:

かなり対照的ですね。自分たちの事例だと、Nianticさんやソフトバンクさんとの取り組みは、企画書が全くないところからスタートしています。翌週にプロトタイプができあがり、それを何度も何度もブラッシュアップして、ドキュメントになるのはそのあとです。展示まではおよそ3~4ヶ月ほどでした。

この方法だと“前に進んでいる感”はあるのですが、それが最適か否か判断しにくい、表現の天井や限界値がどこにあるのか分かりにくいのではないか、とも感じています。本当は水口さんたちのような手法でも取り組んでみたいですね。

https://www.youtube.com/watch?v=iC-s5VQEbA4

(松山氏の言う「Nianticさんやソフトバンクさんとの取り組み」こと「AR Roppongi x Ingress」。THINK AND SENSEはNianticのスマートフォン向け位置情報ゲーム「Ingress」の世界を、ARやプロジェクションマッピングで現実のものとした)

水口:

でも、短期間でこれだけの作品を仕上げているのはすごいですよ。自分はタイムレスなものを作ろうとする癖があって……どうしてもひとつのものにかける時間が長くなってしまう。じっくり練ってから出したがる傾向が強いから、1年半くらい考えて練っても、価値がないと思ったらやめちゃうんです。もっと短いスパンで実験してもいいな、とは思っているんですが。難しいですね(笑)

クリエイティブでいることと、組織にいること

水口:

先ほどは制作でどう取り組むかという話でしたけど、「クリエイティブであり続けること」「会社員であること」がいまいち合わないと感じることが多いんですが、松山さんはどうですか?

松山:

安住するとクリエイティブさは失われていく傾向があります。それを防止しつつ、組織であることを活かす仕組みづくりが必要だと常々感じています。自分たちは会社の一部署であるので、その位置づけを逆手にして活かしていく方法を模索しているところですね。

幸いなことに、THINK AND SENSEは「別の業界にいたけれど、やりたいことがあってと飛び出してきた人」で構成されているので、ハングリー精神が強くがむしゃらに戦えています。それが最近のプロジェクトにもつながっていますし。

水口:

THINK AND SENSEさんは先ほどのような「安住してしまう」懸念はあまりないように思いますね。クリエイティブさを失わないために、という意味では、自分たちはハリウッドのスタジオを参考にしています。ハリウッド俳優や映画監督は会社員でもなんでもないわけですよね。もちろん厳しさもありますが、能力がある人はガンガン上に行って、素晴らしい作品を作っていく。彼らも社員というよりは個人事業主の集まりで、強い個が結びつくことでそれぞれのチームや組織になる。そういう意味でクリエイティブであり続ける一番の方法は、所属しているメンバー全員が強くなる、意識高く戦うことだと思います。

松山:

クリエイティビティのためのモチベーション設計は大事ですね。THINK AND SENSEのプロデューサーは「うちのメンバーが120点で打ち返してくるプロジェクトだけをやれるようにする、それが俺の仕事だ」と言っていて。こうした環境を整えてくれているということも大きいと思います。

「イマーシブ」な体験を超えて

松山:

昨今の「体験」はイマーシブ(没入型)という言葉が先行している印象があります。VRもそうですが、外部から強い刺激を与えるようなものや、飽和するほど覆い隠してしまうものが多い。水口さんはこうしたものがピークアウトした時、次の「体験」のトレンドはどうなると思いますか?

水口:

「体験」という意味だと、例えばARが当たり前になった時代が来たとして、単に情報をARに置く、という体験デザインは一番まずいと思っています。情報の時代が終わって体験の時代に移るとき、2Dの画面によって慣らされた身体感覚が全く通用しなくなる。今までにないものが来るわけですね。情報の洪水で全て覆えばいい、というわけではない。そこが決定的に違うと思います。

最近、アメリカだとトランスフォーマティブ・テクノロジー(Transformative Technology)という分野が出てきていて。人間のメンタル、サイコロジカルな面をテクノロジーで支援し、人々を幸せにするというものです。こういった人間の意識や内面に注目する流れは何十年かに一度来るのですが、今回はその波がテクノロジーとくっついているわけですね。マインドフルネスあたりとも近いでしょうか。みんな情報だらけの世界に疲れていて、その反動が来ているんじゃないかと。

松山:

ちょうど昨日、禅寺に行ってきたのですが、禅という体験はイマーシブな情報の過剰さに対するカウンターのように思えます。心を無にして個を見つめることで、逆説的に周りが見えてくる。でもただ座らせるだけでは、なかなか理解してもらえない。その導入をテクノロジーで解決できないか、という話でした。

水口:

まさにそれですよね。言葉にできないから簡単には伝えられないことがある。対応するボキャブラリーが存在しないような体験があり、テクノロジーによってそれが多くの人々に開放されていく。かつて聖書は教会や一部の人しか読めませんでしたが、活版印刷によって広く読まれるようになり、人々の意識変容を促した。最近の流れはそれと重なるんですよ。

この前、その話をして「活版印刷以来の、600年ぶりの大革命が起こる」って言ったらポカンとされてしまったけれど(笑) 体験の時代が来るのは間違いないし、それをドライブしていくのはVRやARなんでしょうね。

松山:

水口さんのお話を聞いて、クリエイターにとっても時代の大きな潮目に来てるいということを強く実感しました。前例や体系の無い「体験」づくりにおいて、テクノロジーを武器に常に挑戦していきたいと思います。

(了)

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(文:水原由紀、写真:内田雅子)



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