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作業補助・ナビゲーション 2018.12.17

テスラがARの特許出願 電気自動車の製造工程でAR活かす

自動運転の電気自動車は、デザインや実際の組み立てなどを含め非常に工数が多いため、その改善に向けた取組が活発です。

アメリカのシリコンバレーを拠点とする自動車会社のテスラは、ARの利用により莫大な工数やヒューマンエラーが削減できると見込み、AR機器を利用した工数削減に関する特許を出願しました。

ARグラスを使う3つのシチュエーション

テスラは本特許により、Google GlassタイプのARグラスを用いて、製造ラインに従事する従業員らの作業効率化を図る見込みです。特許ではARグラスを使った3つの機能に触れられています。

一つ目に、ARのディスプレイを用いて、従業員に作業内容を述べた図解を提示する仕組み。非常に薄い膜のコーティングを高精度で行う際の補助を行う、塗布が難しい場所を特定して作業員に知らせる、などの役割を担います。

二つ目に、車の点検時の異常検出を行う仕組みですす。次の図に示すように、溶接や穴あけの位置が正しいか、部品間の接触面の耐性は十分か、などの観点で点検を行い、製造車の品質管理に役立たせることが可能、としています。

最後に、工場の各階のマップをARグラスを通して提示し、製造ロボットが正しい位置や向きで設置されているかを確認できる機能があります。これには工場には莫大な数のロボットがあるため、互いにぶつかる、現場での障害物となる等の危険を回避する狙いがあります。テスラの自動運転車の精密な製造ラインの構築に役立てるものと考えられます。

自動車産業で進むVR、ARの活用

AR・VRの技術を自動車産業の工程に利用する試みは、これが初めてではありません。

テスラは2016年にすでにGoogle Glassで実証実験を行っていたとの噂がありました。フォルクスワーゲンは、1万もの従業員がVR用いたトレーニングを行っています。また、日産は、消費者に対し新型車に興味を持ってもらう目的もあり、VRでスターウォーズを体験できるスペースを設ける試みをしていました

トヨタやホンダ、ボルボ、フォード、アウディなど、他の名だたる自動車会社も含め、VRやARの技術を駆使して製造工程を改善したり、消費者の自車へ注目を集めたりする試みは近年非常に盛んです。

テスラはこのAR技術を元に、第2四半期の収益発表において、2019年までにモデル3の車を1万台生産すると表明しています。同社が目標の達成のために確実にARの技術を必要としており、同時に自動車産業、特に生産性向上においてAR技術が鍵を握っていることを示唆しています。

(参考)https://vrscout.com/news/tesla-patent-for-ar-manufacturing/


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