シンクタンクが2016年のVR業界の動向を予測した具体的な数字が明らかになりました。4月末に開催されたシリコンバレーのVRイベントSVVR EXPO 2016でリサーチ会社SuperDataのStephanie Llamas氏の講演で明らかになったもの。
SuperDataはゲーム業界を中心に業界レポートを定期的に発信しているリサーチ会社です。VRに関するレポートも年に1回出しており、今回は4月に公開されたレポートの結果を抜粋する形で講演が行われました。
特に印象的だったデータを紹介していきます。
2016年にVR業界全体での売上は29億ドル(約3190億円)という予測。2020年には10倍以上の403億ドルに伸びるとしています。
米国の家庭における技術の普及推移を示したグラフ。左からカラーテレビ(オレンジ)、ビデオ(水色)、PC(紫)、携帯電話(黄緑色)、インターネット(クリーム色)、そしてVR。VRはまさにまだ普及の始まった年であることがわかります。
2016年に出荷されるVRヘッドマウントディスプレイの総数(単位は100万台)。モバイル向けのGear VRが最も多く、PlayStation VRが次点、PC向けのOculus RiftとHTC Viveは100万台を下回る予測です。考慮すべき事項として、PC向けの2機種の生産が需要に追いついていないことを挙げ、出荷待ちが5~8月までは続くこと、期待値の高まりという観点からは長期的にはVR全体にとっては良い影響を与える、との分析を加えています。
また、米国内でのVRへの関心については、52%が無関心となっています。年齢別に見ると特に年齢が上になるほど割合は大きくなっていきます。
アメリカにおけるアーリーアダプターの像は、39歳、VRに対して379ドル(約4万円)の出費までなら可能と考えており、1週間に5日は使う、というもののようです。約4万円ということで、いわゆるハイエンドのOculus RiftやHTC Vive、そしてPlayStation VRですらアーリーアダプターの想定は上回っていることがわかります。
そして、SuperDataはVR業界の売上をハードウェアとソフトウェアでの内訳を分析。急激に普及が行われるわけではなく、2019年に売上ベースでソフトウェアがハードウェアを抜くところがソフトウェアの普及つまりVR業界としてもアーリーアダプターではなくいよいよ普及が本格化するタイミングになるのではないかとしています。
そして2020年に向けて伸びていくソフトウェアの内訳としては2016年では78%をゲームが占めるのに対し、2020年には28%となり、エンターテイメント、ソーシャルほか他分野での需要が大きくなっていきます。総額が5億ドルから242億ドルへ変化しているため、VRゲーム自体も4億ドル程度から68億ドル程度とおよそ15倍以上の成長が見込まれています。