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テック 2018.09.22

新発想の独自機構ライド&歩行型VRデバイス、ビーライズブース体験レポ【TGS2018】

2018年9月20日から9月23日まで、千葉・幕張メッセにて開催中の東京ゲームショウ2018(TGS2018)。年々存在感を増しているVR/ARコーナーですが、中でも注目を集めていたのはビーライズ社のブースです。展示には5K解像度と210度の広視野角を備えたVRヘッドセット「StarVR」を使用、斬新なアイデアで開発が進められているVRデバイス2種が展示されていました。その感触をレポートしていきます。

同ブースに出展されたのは、広島市立大学発のベンチャー企業Lumbus(ランバス)と共同開発したVRライドマシン“Lumbus”と、まだ名前のないVR歩行デバイスの2つ。いずれもVRヘッドセットにはStarVRが用いられています。


(展示されているデバイスの機構説明)

Lumbusは座るタイプのライドマシンで、最大25度もの傾斜が体験できます。特徴的なのは傾斜の大きさに加えて、その構造のシンプルさ。スタッフに尋ねたところ、カップで支えるというシンプルな作りのため故障しにくく、またデバイスを動かすためのアクチュエータの数が少なくて済むのだそうです。実際ブースで動作していた試作機では、2本の細いアクチュエータだけでピッチ軸(左右軸)とロール軸(前後軸)の動きを制御していました。


(現存するライドマシンよりもだいぶ小型な印象です)

会場で体験できるコンテンツ「ラストライドVR」は、超高層ビルの外側に設置されたレールの上を椅子に乗って滑走するという、Lumbusの機構をよく感じられる内容。レールの傾きに合わせてシートが動くことで、かなりのスリルが味わえることでしょう。実際には25度までしか傾いていないのに、それ以上なVR世界の(視覚的な)傾きに引っ張られて「イスから転げ落ちそう! 怖い!」という錯覚を味わえるのも楽しかったです。


(車イスのようなむき出しの1人乗りコースターで、高層ビルから張り出した細いレールの上を進んでいきます)

世界各国のデバイスメーカーがよりリアルなVR再現を目指して開発を進めている歩行デバイスですが、ビーライズブースで展示されていたものは他とは一味違う発想が見られました。既存の歩行デバイスの多くが、足(足首より先)の動きをトラッキングするのに対して、ビーライズのものは大腿部の動きを元にしているのが大きな特徴です。まるで乳幼児用の歩行器のように大腿部を取り囲むケージの内側には、荷重センサーを仕込んだクッションが張り巡らされていて、そのセンサーで大腿部や膝の動きを検知することで、歩きの動作をコントロールしています。人は歩行時に体重を前に掛けるものですが、この歩行デバイスではケージに体重を預けることができるため、足だけを動かすよりも自然な歩行操作が可能となる、というわけです。


(体験中の様子。前進するべく重心が前のめりになっているのがわかるでしょうか)

むき出しになった機械からわかるように、本デバイスはまだ研究段階のもの。精度にもまだ難はありました。しかし体験してみた限りでは、身体をケージにあずけた状態で足踏みができるため、より自然に近い歩行感覚での移動が行えました。また、カニ歩きのような視線方向以外への移動も可能となっているので、研究の成果次第ではよりリアルな歩行体験を実現するかもしれません。


(ブースでは、銃を持ってオープンフィールドを歩き回る体験ができました)

最後にStarVRについて簡単に。やはり210度を誇る視野角の広さは圧倒的です。筆者はStarVRを体験するのは初めてでしたが、従来のVRヘッドセットのように頭を動かさずとも視界の端々までが見られることにちょっとした感動を覚えました。現状ではBtoBのみで一般向けの販売は未定というStarVRですが、性能的にはエンターテイメントでの活用にマッチしていそうなので、この先VR関連のイベントで見かけたらぜひ体験してみてほしいところです。


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