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業界動向 2022.11.28

クアルコムがARグラス特化のチップセット「Snapdragon AR2 Gen 1」を展開

米国の半導体大手クアルコム(以下「クアルコム」)が、毎年恒例のイベント「Snapdragon Summit 2022」(11月15日〜11月17日、ハワイ州マウイ島)にて、世界初となるARヘッドセット向けチップセット「Snapdragon AR2 Gen 1」を発表しました。

同イベントで、クアルコムはオーディオ、モバイルPC、XRヘッドセットの3分野で新しいチップセット(SoC)製品プラットフォームを発表。Snapdragon AR2 Gen 1を含む最新世代チップセットの特徴や性能、ユースケースを伝えました。

ARヘッドセット専用に省電力・小型化

クアルコムはここ数年、VR/ARデバイス向けの「Snapdragon XR」シリーズの開発に注力してきました。上位モデルXR2はVRヘッドセットMeta Quest 2やPico4に採用されている一方、ARグラスのプロトタイプも発表されておりVR/AR両対応とされてきました。しかし、デバイス・コンテンツ側の進歩により、VR/MR分野とAR分野の技術要件が分岐しつつありました。

そこで同社は、既存のXRシリーズとは別に新たなチップセット「Snapdragon AR2 Gen 1」を開発。公式発表(英文)によれば、メインプロセッサの専有面積を40%小型化しながら、消費電力は50% 削減、AIパフォーマンスは2.5倍向上しました(同社比)。プロセッサをMain / Coの2つに分け、Wi-Fi 7規格(策定中)に対応する設計で、このチップセットを搭載するARグラスにはさらなる軽量化や遅延改善が期待されます。

空間オーディオやプロゲーマー対応も

オーディオ機器向けチップセットの第2世代となる「Qualcomm S5 Gen 2」「Qualcomm S3 Gen 2」は、Bluetooth®の新規格「LE Audio」が目指す新機能「Auracast™」に対応します。

この機能は、消費者の関心が高まるブロードキャストオーディオ方式を実現するものです(1つの送信機器(TV、スマホ、PCなど)から複数の受信機器(イヤホン、ヘッドホン、補聴器など)に音声信号を配信する仕組み。空間オーディオとも言われる)。

他の幅広い改善と組み合わせることで、クアルコムは「リスナーが周囲の世界に耳を向けたい時に、没入型ノイズキャンセリングと自然なサウンドリークスルーとの間のなめらかな切り換えをサポートする」としています(出所:クアルコム)。

「Snapdragon Summit 2022」は、公式イベントページから講演資料や関連動画を入手できます。

参考:クアルコム


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