5月19日、イスラエルのスタートアップSightfulは、ARデバイスセット「Spacetop」を発表しました。「Spacetop」は、ARグラス「Nreal Light」のカスタマイズ版と、ディスプレイを配したラップトップからなるセットで、複数の画面をARで表示できます。価格は2,000ドル(約280,000円)。まずは1,000台の早期購入希望者を募り、2023年7月に出荷予定です。
Magic Leap出身の技術者が創業
Sightfulは、MRデバイスを開発するMagic Leap出身の技術者により、2020年に創業されました。創業当初はMultinarityとの社名でしたが、のちに変更しています。イスラエルに拠点を置き、「実用的で、働く上で不可欠なARソリューションの開発」を掲げ、ARデバイスの開発を行っています。
同社は2021年6月に2,800万ドル(約38億円)、2023年5月に3,300万ドル(約45億円)の調達を実施し、調達総額は6,100万ドル(約84億円)に達しています。主な投資家はCorner VenturesとAleph Capitalですが、詳細は明らかにされていません。
実用機能にフォーカスしたARデバイス
今回発表された「Spacetop」はSightful初の製品となります。本体はノートPCの画面部分をなくしたような形で、フルキーボード、トラックパッド、USBポートおよびディスプレイポート、ウェブカメラなどが付属。同社が開発した「Spacetop OS」を搭載し、「Qualcomm Snapdragon 865」プロセッサ、8GBのRAMメモリ、256GBストレージが内蔵されています。
付属のARグラスは、Nreal社が開発する「NrealLight」をカスタマイズしたもの。6DOFトラッキング、視野角53度、片目あたり1,920×1,080の解像度を有し、ケーブル接続で使用できます。なお、SightfulはNreal社の提携先企業です。
Sightfulは「ゲーム操作や動画編集などの高性能な機能をお使いのお客様は、将来世代の製品をお待ちいただくのがよいでしょう」と発表しており、PhotoshopやBlenderのような本格的なデスクトップアプリケーションには対応していない模様です。
また、同社はAR特有の空間機能の活用には現時点で注力しておらず、「Spacetop」に現実空間に3Dモデルが浮かんで表示されるような機能はありません。仮想画面を手で動かすようなジェスチャー操作の開発にも取り組んでいない、とのことです。
本記事執筆時点で、Sightfulは早期アクセス販売の希望者を募っています。販売予定価格は2,000ドル(約280,000円)。1,000台の限定発売で、2023年7月に出荷が開始される予定です。
(参考)Sightful、Road to VR
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