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テック 2018.05.18

セイコーエプソンら、ARグラス搭載の防災マスク開発 救助で活用

セイコーエプソン株式会社は、同社のARグラス「モベリオBT-300」の技術を応用した「スマートマスク」及び「スマートゴーグル」のコンセプトモデルを開発しました。

本モデルは一般財団法人日本消防設備安全センターが主催・運営する「G空間情報を利用した救助システム及び消防活動に関する検討会」参画企業との共同開発となっています。


(「スマートゴーグル」外観)

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都市での大規模災害への対応

近年、都市構造の大型化や高齢化による潜在的な災害弱者の増加のもと、大規模施設などでの救助活動は困難さを増しています。

「G空間情報を利活用した救助システム及び消防活動に関する検討会」は、産官学の専門家や事業者が集まり、救助活動についての課題を扱っています。4年以上の検討・開発を経て、あたかも屋内を透視するように把握ができ、救助活動を飛躍的に向上させる「STAR RESCUE SYSTEM®(See Through Augmented Reality RESCUE SYSTEM)」のコンセプトモデルの製作に至りました。

「STAR RESCUE SYSTEM® 」とは

建物内や地下街などに設置されたビーコンを活用した「位置情報システム」は、普段は人の誘導や道案内、広告など商用に使います。このスマートフォンの位置情報を、災害時は消防隊が利用することで、建物内に取り残された人数や場所などの情報を事前に把握できます。

また、救助活動にあたる隊員の位置や状況も把握でき、要救助者の位置を確認しながら、組織的に迅速かつ効果的な救助活動を可能とします。これにより、人々の生命及び安全性に対する飛躍的な向上が期待されます。

「STAR RESCUE SYSTEM®」コンセプトモデルの概要

スマートマスク

「スマートマスク」は、エプソンのARグラス「モベリオBT-300」を組み込んだ新型マスクです。
本マスクは、無線により隊長の手元にある情報端末と交信を行います。隊長は、情報端末で隊員が置かれている状況を確認でき、現場情報の共有が可能になります。
グラスには、隊長からのテキストによる指示、赤外線カメラの映像、空気呼吸器の残量、時間経過及び方位が表示されます。また、赤外線カメラの使用により、暗闇の中での要救助者の位置や高温場所の確認もできます。


(「スマートマスク」外観)

スマートゴーグル

「スマートゴーグル」は、ARグラス「モベリオBT-300」を組み込んだゴーグルです。「スマートマスク」と比べ、外観は軽装備仕様となっていますが、グラス部分の情報表示機能は同一。指揮隊の情報端末と無線交信もでき、現場情報の共有も可能です。


(グラス部分の表示イメージ)

位置測位システム

スマートフォンに組み込んだアプリケーションソフトで、建物内のビーコンの位置情報を取得し、それをスマートフォンからサーバーに送信します。サーバーでその位置情報を平面図上に表示し、PCやタブレットに送信します。これにより、GPSなどの届かない屋内や地下街などの閉鎖空間でも、スマートフォンの持ち主=要救助者の位置を測位することができます。

本システムは、5月31日~ 6月3日に東京ビッグサイトにて開催される「東京国際消防防災展2018(FIRE-SAFETY TOKYO)」、一般財団法人日本消防設備安全センターブース(東6ホール 小間番号:6-21)に出展、体験会を行います。

海外では、救助時の視界を確保する消防士用ARヘルメット、飛行機火災時に操縦視野を確保するAR酸素マスクなども開発されています。

(参考)セイコーエプソン株式会社ニュースリリース


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