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メタバース最新動向 2023.09.25

日本のクリエイターの活躍に期待したい——本格展開がスタートした「Roblox」VPインタビュー【TGS2023】

過去最大規模となった東京ゲームショウ2023(TGS2023)は盛況のうちに幕を閉じた。今年も国内パブリッシャー・デベロッパー、中国発の人気運用型タイトル、そしてインディー開発者たちのブースやBtoBソリューションが残暑にも負けぬ熱気を放っていた。そんな中、米国からとある超巨大ゲームプラットフォームが日本に本格進出しようとしていた——「Roblox(ロブロックス)」である。

今回、Mogura VR NewsはRobloxのVice President of Product for the Creator GroupであるTian Lim氏にショートインタビュー。Robloxの日本展開における現状と今後、そして日本のクリエイターへの期待を訊いた。


(Roblox Vice President of Product for the Creator GroupのTian Lim氏)

Robloxはゲーム中心の「ソーシャルプラットフォーム」

まずは「Roblox」の簡単な紹介から始めよう。

Robloxのユーザー基盤は極めて巨大だ。Roblox自身が発表した最新のデータによれば、全世界でのDAU(Daily Active Users、1日あたりのユニークユーザー数)は6,550万人、MAU(Monthly Active Users、1カ月あたりのユニークユーザー数)は2億人を超える。プレイヤーの約43%が13歳以下で、現在最も急速に成長しているユーザー層は17歳から24歳だ。このあたりの「とにかく、たくさんの人がプレイしている」「プレイヤー層がかなり若い」「プラットフォームとともにユーザーが育っている」ことはよく報じられている。


(Tian氏が挙げたRobloxの人気コンテンツの例。「Brookhaven RP」はたった2人のチームで開発されているが、2020年の公開以来、累計で367億回も訪問されている。なお同時接続者数は約55万人、少ない時間帯でも約20万人がアクセスする。これは「Apex Legends」のSteam同時接続者数と近い数値だ)

では、実際のユーザーの動きはどうなのか。Robloxユーザーの平均滞在時間は150分だが、1つのコンテンツに留まっている時間は長くても平均15分や20分前後。さらにコンテンツも比較的カジュアルなものが多い。ユーザーの多くは「1つのコンテンツをじっくり遊ぶ」のではなく、「複数のコンテンツを、オンライン/オフライン問わず友達とぐるぐる回って遊ぶ」スタイルを取る。つまり「友達と一緒に遊ぶため、コミュニケーションをするためにゲームがある」といったイメージであり、このあたりはRobloxが「ソーシャルプラットフォーム」を自称しているあたりからも察せられる。


(Robloxでは「ゲーム体験」だけでなく、多数のアバター用アイテムも販売・取引されている。クリエイターによる数量限定アイテムやリセールの仕組みも導入されているほか、DAUのうち1,000万人は毎日アバターをカスタマイズし、デジタルファッションを楽しんでいるという。巨大な「ファッションプラットフォーム」でもあるわけだ)

なおMogura VR Newsは、2022年7月に「Robloxたちがやってくる」と題したRoblox特集を行った。海外のRoblox専門ゲームスタジオや、親子でRobloxをプレイしている家庭へのインタビュー記事などが掲載されているため、本記事を読んでRobloxに興味を持った方は、こちらもお読みいただければ幸いである。

さて、Robloxの紹介はこのあたりにして、Tian氏へのショートインタビューに移ろう。

Robloxが日本に期待するものは

——RDC(Robloxの開発者向けカンファレンス)では、グローバル展開についてのパートが、日本でのユーザーとクリエイターが増加している話からスタートしましたよね。

Tian Lim(以下Tian):
グローバルなゲーム市場を考えた時、日本は大きな存在です。しかしまだRobloxは日本での認知度が高いとは言えませんから、電通や吉本興業とのインフルエンサープログラムを展開したり、Robloxをクリエイターの皆さんに知ってもらうための取り組みを始めているところですね。

——現在の、日本のユーザーやクリエイターの年齢層、広がり方についてはどう考えていますか。

Tian:
Robloxは日本への本格展開をスタートしたばかりなので、「いま日本でどの年齢層が多くプレイしているのか」といった判断をするには時期尚早だと考えています。私たちはまず、クリエイターコミュニティが誰に語りかけているのか、彼らの作ったコンテンツが誰に受け止められているのかを見ます。今言えることは、複数の角度から、複数のIPで、様々な人たちにRobloxを好きになってもらいたいと思っている、ということですね。


(TGS2023で発表された「ドラえもん のび太のゴーゴーライド!」。藤子プロの協力を得て開発されており、2023年冬リリース予定だ)

Tian:
クリエイターの話をすると、「顔から逃げるゲーム(Escape from Running Head)」が、たった一人であれだけのグローバルなヒットを実現しているのは素晴らしいことです。日本には様々なクリエイターがいますし、そういった人たちによって魅力的なアイディアが出てくるのではないかと思います。

——日本においては、Robloxは「ゲーム」として受け止められるケースが多くなるのではないかと考えています。例えばMinecraftやFortniteのように。どうすれば日本のユーザーにも「ソーシャルプラットフォーム」であることを理解してもらえるでしょうか?

Tian:
どのようなプラットフォームであるかを理解してもらうには、まずはクリエイターの方々からです。そしてクリエイターの皆さんが新しいコンセプトやコンテンツを作り、それをユーザーの方々が体験した結果として、どのようなプラットフォームであるかの理解が深まっていくでしょう。

——最後に、日本のクリエイターに対して期待することを教えてください。

Tian:
やはり「たくさんのRobloxクリエイターが活躍してくれること」です。Robloxは他のプラットフォームと比べて、ユーザーがそのままクリエイターになりやすいと思いますし、日本では多くのユーザーがクリエイターになりえるでしょう。IPやブランドも含め、様々な形で日本発のRobloxコミュニティやコンテンツが盛り上がってくれれば嬉しいです。

(了)


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