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メタバース最新動向 2023.11.16

「デジタルな自己表現」はZ世代の幸福感に好影響: Robloxが自主調査をもとに考察

Roblox(ロブロックス)は11月12日、「Z世代のデジタルな自己表現に関する調査」に基づく分析レポート「2023 Digital Expression, Fashion & Beauty Trends Report」を公開しました。2種類のデータを用いた考察をもとに、「デジタルな自己表現」が、Z世代のファッションや幸福感にポジティブな影響を与えているのではないかと結論しています。レポートはこちらからダウンロードできます。


(出所:Roblox)

このレポートは、昨年公表された「2022 Metaverse Fashion Trends Report」の続きに当たります。調査に用いたデータは以下の2種類で、Webアンケートツール企業のQualtricsに委託して収集されました。

  • 1.Robloxプラットフォームで収集された行動データ(対象期間:2023年1月1日から9月30日)。
  • 2.米国(1,027人)と英国(518人)に住む14歳から26歳までのZ世代ユーザー1,545人に対するアンケート調査(自己申告方式)(対象期間:2023年9月27日から29日)。米国及び英国の国勢調査をもとに、両国の性別・年齢構成比と同じとなるよう割付。

なお、アンケート調査対象者は「Robloxのようなプラットフォームを毎月1回以上利用する人物」を条件に抽出されています。なお、直近Robloxでは毎日7,020万人が1日平均2.5時間を費やしており、ユーザーの57%は13歳以上です。

「デジタルな自己表現」がユーザー自身の美意識・幸福感に影響する

Robloxは公式ブログで、レポートの内容を要約した「5つの気づき」を発表しました。

Robloxは分析に際し、アバターの容姿やファッションなどを「アバター・スタイル」「メタバース・ファッション」と呼び、ユーザー自身が現実で楽しむファッションを「フィジカル・スタイル」「フィジカル・ルック」と呼んで対比しています。

そのうえで、アバターのカスタマイズやエモート等の使用を「デジタルな自己表現」と名付け、「デジタルな自己表現」がユーザー心理に与える影響や、物理世界のファッション消費にもたらす可能性について考察しています。


(出所:Roblox)

分析によれば、「Robloxのようなプラットフォーム」を毎月使うZ世代のなかでも、56%が「物理世界よりもデジタルなファッションが重要」だと感じており、「物理世界の自分のファッションスタイルは、自分や他人のアバターが着ている服から非常に影響を受けている」ユーザーも54%に達します。また、半数以上が毎月10ドル(約1,500円)までのアイテム購入には「抵抗がない」と感じており、有料のヘアスタイルやエモートの購入者も増えています。

また、メタバースは「なりたい自分になれる」「批判されにくい」と感じるユーザーが多く、他人の視線よりも、自分のアバターが自分にとってよく見えるかを「とても気にする」と答えています。そして、回答者の88%が「イマーシブな空間で自己表現することで、物理的な世界でも快適な自己表現ができるようになった」と答えています。

これらのことからRobloxは、「デジタルな自己表現」がZ世代の美意識・幸福感にポジティブな影響を与えているのではないかと結論しています。以下で「5つの気づき」を見出し別に紹介します。

1.デジタルな自己表現の重要性は高まり続ける


(出所:Roblox)

Robloxプラットフォームの行動データによれば、ユーザーによるアバター更新回数は延べ1,650億回(前年同期比+38%)に増え、アイテム購入数も約16億件(同+15%)に増加。毎日アバターを更新するユーザーは数百万人単位に達しました。

また、アンケート回答者の85%が「デジタルなファッションの重要性」は「いくらか重要」だと答え、56%が「物理世界の自分より、アバターをスタイリングするほうが重要」だと答えています。そして、回答者の54%が「物理世界の自分のファッションスタイルは、自分や他人のアバターが着ている服から非常に影響を受けている」と答えています。

2.メタバースでZ世代はブランド認知を気にする


(出所:Roblox)

アンケート回答者の52%が、アバターの「外見がかっこいい」と判断する際にもっとも注目するのは「スタイリッシュな服装」だと回答。「人気ブランドのアイテムをアバターに着せたあと、IRL(実生活)でもそのブランドを検討したくなるか」についても、回答者の50%が「非常にそう思う」を選びました。

3.消費者はデジタルファッションへの出費に前向きで、高級であればあるほど良い


(出所:Roblox)

回答者の43%が「物理世界とデジタルなファッションを「お揃い」にする」と答えました。また、52%が毎月10ドルまでのアイテム購入には「抵抗がない」と答えました。さらに19%は毎月20ドルまで、18%は毎月50~100ドルまで支払ってもよいと答えました。

Robloxは、過去に高級ブランドによる限定アイテムやレアアイテムの買占めや行列が起きたことを指摘し、こうした傾向は「デザイナーやブランドにとって喜ばしいこと」だと述べています。

4.頭からつま先まで、アバターは表現の実験ができる


(出所:Roblox)

回答者の35%が、毎日または毎週、アバターのカスタマイズは「重要」だと答えており、性自認が女性の回答者ではその比率が51%に上りました。また、2023年にユーザーは1億3900万以上(前年比+20%)のヘアスタイルを購入しており、5つ以上のヘアスタイルを購入した人は730万人以上に上ります。

また、回答者の86%がアバターの感情表現が「多少は重要」だと答えており、2023年には980万人(前年比+64%)のユーザーがエモートを購入しています。

5.「本物らしさ」がイマーシブな空間における自己表現の原動力で、幸福感にも好影響


(出所:Roblox)

自分のアバターが「自分にとってよく見えるか」を「とても気にする」と答えた回答者は62%に上りましたが、「他人にとってよく見えるか」を「とても気にする」と答えたのは37%でした。

回答者の40%が、物理的な世界よりもメタバースで本物の自分を見せるほうが「簡単だ」と答えています。その理由は「表現の自由」や「創造的な選択肢」が増えたからであり、イマーシブ空間での交流は「なりたい自分になれる」「批判されにくい」と答えています。

「メタバースは物理世界よりも容姿で判断されることが少ない」と答えた回答者は、そうは思わないと答えた回答者の2倍に上りました。物理世界で撮った写真をソーシャルメディアに投稿するより、イマーシブな空間で自己表現するほうが「自分らしい」と感じると答えた回答者も、そうは思わないと答えた回答者の2.2倍になりました。

回答者の88%が、イマーシブな空間で自己表現することで、物理的な世界でも快適な自己表現ができるようになったと答えています。他者とつながり(29%)、自信を深め(24%)、本当の自分を表現できるようなり(21%)、その他の方法でメンタルヘルスを改善するのに役立つ(25%)と述べています。

(参考)Roblox


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