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統計・データ 2022.02.07

ガムは「映像酔い」を軽減する? 研究論文が発表

「ガムを噛むことで、視覚誘発性乗り物酔いが軽減される」とする研究論文が発表されました。本論文においてMara Kaufeld氏らによるグループは、VRを用いた実験を行い、チューインガムの味と乳様突起への刺激が映像酔いの軽減と関連する可能性を探っています。

 

ガムを噛んだグループは映像酔いが軽減される。味による差異も?

「視覚誘発性乗り物酔い(Visually induced motion sickness、VIMS)」はVRを体験するときに生じる作用で、一般的に「VR酔い」と呼ばれます。乳様突起と呼ばれる部分への機械的刺激や、匂いや音楽などの心地よい刺激に注意を向けることで改善される可能性が示されており、チューインガムはこれらの要素を同時かつ手軽に満たすことができます。

今回の実験には77人が参加し、「ペパーミントガムを噛むグループ」「ジンジャーガムを噛むグループ」「ガムを噛まないグループ(コントロールグループ)」の3つに分けられ、VRでヘリコプターを使った15分間のバーチャルフライトを行いました。VR体験の前後にはシミュレータ酔いに関する質問票(Simulator Sickness Questionnaire、SSQ)を、バーチャル飛行中は1分に1回の頻度で高速運動酔い尺度(Fast Motion Sickness Scale、FMS)をそれぞれ用いて、映像酔いの度合いを評価しました。

実験の結果は「ペパーミントガムを噛んでいたグループは、他の2つのグループと比較して映像酔いが少なかった」「ジンジャーガムを噛んだグループは、ペパーミントガムを噛んだグループほどではないものの、映像酔いが明確に減少した」と報告されており、「噛む」という行動による乳様突起への刺激だけでなく、ガムの味も映像酔いの度合いに影響を与える可能性があることが示唆されました。一方で著者は事前テストの結果などを鑑み、「今回の結果は、軽度の映像酔いの症状にのみ適用できる可能性がある。重度の映像酔いに大して同等の効果が発揮されるかどうかは、今後の検討課題である」としています。

論文では、「チューインガムは、教育やトレーニングのような多くの用途において、手頃な価格で受け入れられ容易にアクセスできる、映像酔いの軽減方法として有用である可能性がある」と述べられています。また、この効果の背後にある可能性のあるメカニズムについても議論されています。

本論文の全文はこちら(Springer)から読むことが可能です。

(参考)SpringerVRScout
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